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エリザベスドール
【ホラー その他小説】

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メルファ・人形残酷(?)物語4-9

 無視された!

 これにはメルファの怒りに火が着いたようだ。
 興奮し出したメルファの口から、批判の言葉や誹謗中傷の言葉が…

 まあ、出るわ出るわ。

 でも誰も動揺する事なく、それら全てをサラリと聞き逃す。

 メルファは狂ったように、裁判長や証人たちに罵声を浴びせる。

 更に、姉にも…。

 エリザベスの方も動揺せず、冷ややか眼で妹を見つめるだけである。

「被告人、静かにしなさい!」

 裁判長が声を荒げてメルファに注意するものの、当の被告人は罵声を止めない。

 ここまで来ると、ずっと裁判を傍聴していたボックルも、さすがに黙っちゃいない。

 ボックルはエリザベスに目配せした。

 エリザベスは立ち上がり、メルファに向けて手をかざした。

 手のひらから発せられた光の玉が宙を飛び、メルファに直撃!

 メルファは弾みで後ろへはね飛ばされた!

 後方の傍聴席を乗り越え、壁がぶつかって床に転がり落ちる。

 慌てて席を離れた傍聴人たち。

 メルファはグッタリとなった。

「メルファッ!! 愚か者めがッ!!」

 ボックルは普段は見せない怒りの表情で、メルファを睨み付けた。

 エリザベスも厳しい表情でメルファを見る。




 この後、メルファは素っ裸のまま死刑台に身を置いた。

 人形工房内にある廃人形処理機にかけられるのだ。

 天井から降りて来たワイヤー先端部のハンドがメルファの両足を掴む。

 メルファは逆さま状態で宙に釣り上げられ、処理機の挿入口の上へ移動した。

 メルファの眼には…

 監視室の窓越しから、ジッとこちらを見る姉の姿が飛び込んだ。

 妹の悲しい声がエリザベスの耳元でささやく。

―オ姉様、私ヲ助ケテ! 私ヲ自由二シテ!―

「…」

 勿論、エリザベスは完全無視。


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