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大町ルートは生きている
【フェチ/マニア 官能小説】

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大町ルートは生きている-1

大町ルート。別名を拉致ルートと言う。千葉県海上町から主に3つのルートが日本海沿岸にまで延びている。このかつての物流ルートに沿って、北朝鮮の拉致が疑われている特定失踪者が集中している。拉致は実際には60年代初頭に始まり、その被害者の数はいまいわれているものとは桁が違うという説が有力である。

「一緒に冷たいの、決めない?」byカズキ
 私は迂闊にも、ネットの掲示板で見たこの書き込みに反応してしまった。私は19歳のニートだ。高校の頃はちょっと太めで、それがコンプレックスになった。やがて引きこもりに。クスリに手を出すようになったのは痩せるためだ。でもまだ覚醒剤には手を出していない。
 クスリのお陰かはわからないけど、いまでは痩せてミニスカートもショートパンツもはけるようになった。そろそろ引きこもりも卒業しなきゃとは思っている。私は好奇心に駆られてカズキにメールを打った。一度だけなら。わたしがバカだった。

 カズキとは亀戸の駅前で待ち合わせをした。夜の7時くらい。ほどなくフルスモークのワンボックスカーが私の前で止まった。出てきたのは陽気なちょいワル青年といった感じ。
「カズキさん?」
「ああ、決めたいんだろ? 白いヤツ」
「うん」
 カズキはそんなに悪人には見えなかった。
「まあ乗れよ。話は車の中だ」
 私は躊躇した。でもそのために来たんだ。まさか路上でクスリを打つわけにもいかない。私はカズキにせき立てられるままに後部座席に乗った。カズキは運転席に座ると車を発進させた。わたしはそのとき、車の中の異常な様子に驚き、得体の知れない恐怖で鳥肌がたった。そこにはどうみても複数と思われる女性の痕跡があったからだ。Tシャツにジーパン、ハイヒール。なんでこんなところにあるの?
「降ろして、あたし、帰る」
「何言ってんだよ。上物だぞ、上物」
 車はスピードを上げた。飛び降りるのは無理だ。いや、心の隅に、まだクスリの誘惑に逡巡している自分がいる。
「俺はさ、ブローカーやってんだよ。オウメのカズキっていや、結構このへんでも有名なんだぜ」
「何のブローカー?」
「知りたいか? そのうちわかるさ」
 しばらく走ると、私はあることに気がついた。私たちの車を1台の車がつけてくる。やはりフルスモークのベンツだ。そのとき、カズキは車を高速に乗せようとした。
「どこ行くの? 後ろから変な車が」
「あれか? あれは俺のセンパイ達の車だよ」
 私の不安をよそに車は高速に乗った。
「なんでセンパイがついてくるの?」
「決まってるじゃねえか。お前に逃げられないようにだよ」
 こうして私は、あっけなく捕らわれの身となってしまった。

 車は中央高速を山梨方面に向けてひた走った。
「クスリの話は嘘だったの?」
「いや、嘘じゃないけどさ、お前があんまりアッサリ捕まるからさ。わざわざエサ要らねえじゃん。ハハハ」
 私は後ろを振り向いた。私たちを追いかけてくるのはあのベンツ。その後ろには真っ暗な道が続いているだけだ。やがて峠に差し掛かるとカズキは高速を降りた。車は人けのない山道で止まった。次の瞬間には真後ろでベンツが止まり、後部から2人の男がダッシュするようにして私の両隣に乗り込んできた。一人の男が私のニーハイブーツを脱がした。もう一人は私の両腕を後ろに回して背中の上の方までねじり上げた。男はそのまま私の両手首をサイザル麻のロープできつく巻いた。ブーツを脱がした男が今度は私の足首にやはり麻の短めのロープを巻き始めた。手首の方の麻縄は今度は胸の周りに幾重にも巻かれていく。一回りするたびにきつく締め上げられ、ロープは肩からお臍の上あたりまでを被っていく。
「よしっ、長いロープだったな」
 男は笑いながらそう言うと、巻き終わったロープの先を巻き始めたもう一方の先にきつく結わえ付けた。その間にもう一人が私の口に何枚ものハンカチを詰め込んだ。そしてその上から、タオルできつく猿轡を噛ませた。
「いっちょ上がりですね」
 振り向いたままその一部始終をじっと見ていたカズキが、弾んだ声で言った。


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