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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第十二話-1

第十二話 追想―其の三―


「あっと、もうこんな時間すね。りょーこさん、時間大丈夫すか?」

「え?はい。今日はお休みなので大丈夫です。でも営業妨害なのでそろそろ帰りますね。」

「そうですか。なんかわざわざ来ていただいてすいませんでした。」

そう言うと彼は、頭をかきながらペコリとお辞儀をした。

「こちらこそ。お茶とお菓子、ご馳走さまでした。」


ジリリリリリリン―。
一階から大きな音がする。


「あっ、ちょっと電話出てきていいすか。」

「どうぞ。」


彼はパタパタと階段を下りていく。
私も帰り支度をして階段を下りた。
電話をしている彼は何やら深刻な表情だ。
電話を切った彼の表情が硬い。


「あの、どうかしたんですか。」

「え、あぁ、なんでもないす…。」

「何だか顔色があんまり良くないみたいですけど…。」

「へ?そうすかね…。今病院から電話があって、じいちゃんの様態があんまり良くないらしいす。」


取材の時にお祖父さんは入院中だという話を聞いたのを思い出した。


「そうなんですか…。病院、行かなくて良いんですか。」

「…そうすね。行きたいんすけど、今日は取引先の方がこれから見えるんすよ。」

「他に従業員の方っていないんでしたっけ…。」

「そうすね…。」

「私、お店にいましょうか。」

「へ?」


彼は目を大きく見開いてキョトンとしている。
自分でも口をついて出た言葉にびっくりする。


「あ、でも駄目ですよね。よくわからない素人が…。」

「そんなことないす!裏にある書籍を渡すだけなんで。でも、本当に良いんすか…?」

「大丈夫です。病院、行ってきてください。」

「…すんません。ありがとうございます。」


彼は手をひざについてペコリとお辞儀をした。

その後、私に取引先に渡す書籍を一通り説明してくれた。


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