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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第十一話-2

「それってもしかして、コンビニの袋すか?」

「え?いや、その…。気にしないでください。大したものじゃないので。」

私の言動を不思議に思ったのか、突然彼は立ち上がり、私の隣に座った。
コンビニの袋をじっと見つめている。

「…もしかして、コンビニのお菓子ですか?」

彼の顔が近い。
恥ずかしさと緊張で顔が赤くなっている、ような気がする。

「えっと、コンビニのプリンです。何だか美味しそうだったので…。
それで、藤本さんはコンビニの商品食べた事ないかなって思って
…良かったら、食べますか。」

かなりテンパって、咄嗟にプリンを進めてしまった。
シュークリームを食べたばかりなのに、また甘いものを薦めるなんて。
ましてコンビニのプリンなんて。
穴があったら入りたい気分だ。

「…空けてもいいすか?」

「え?はい、どうぞ。」

彼は容器を上から下に、まじまじと見たあと、恐る恐るプリンのパッケージに手をのばす。
プラスティックのスプーンもまじまじと見つめ、スプーンをビニール袋から開封して、
プリンを口に運んだ。

「…。」


「…どうですか。やっぱりお口に合いませんでした…?」

「……おいしいすね。」

そう言うと、彼は何も言わず、黙々とプリンを口に入れ、ついには完食した。

「…すごいおいしいすね。これ。」

「え?そんな。たかがコンビニのプリンです…シュークリームの方が美味しいと思います…。」

彼が私に気を使ってそう言ってくれているのなら本当に申し訳ないと思った。
でも彼の顔は真顔だった。いつものように、首を傾げながら頭をかいた。

「シュークリームよりもりょーこさんのプリンの方がワタシは好きですね。」

彼はにっと笑い、ごちそうさまでしたと顔の前で手を合わせると、
プリンの容器とスプーンを台所に持って行った。
大失敗だと思っていたが、予想外に彼がプリンを気に入ってくれたので
とても嬉しかった。
でも無理して食べてくれたのなら悪いなと思う。
彼は正直な人だと思うだから、きっとあの言動は本物だと思いたい。
そんな事を考えていると彼が台所から戻ってきて、私の正面に座った。

「ふぅー。さすがにお菓子二個はお腹いっぱいになりますね。」

「無理して食べてもらってしまってすみません。」

「へ?いえいえ、美味しかったもんで、ついつい食べてしまいました。」

「そんなに美味しかったですか?」

「へぇ。また今度コンビニで会ったら教えて下さい。買って帰りますから。」

「そんなに気に入ってもらえるなんて驚きです。」

買って帰りたいと思うくらいなのなら、お世辞ではなかったようだ。
そう思って安堵していると、時計がボーンと大きな音をたてた。


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