悪魔の義父-3
祖父は『甘やかすな!!』と、ママが来るたびに機嫌が悪くなった。
たまに会うママは、いつもキレイで優しかったけれど、私より仕事を優先するママには気を使い、甘えることが出来ない子供だった。
だから、ママが今のパパと再婚し、新しい家族が出来た時には、とても嬉しかったことを覚えている。
家族みんなで公園で遊んだり、庭でバーベキューをしたり…
まわりの友達にとっては何でもない日常でも、愛情に飢えていた私にとっては、毎日が夢のような幸せな日々だった。
いつまでも、そんな楽しい毎日が続くと思っていた。
パパとの“なかよし”が、いけないことだと知るまでは…
♯♯♯
『さぁ…由里子――パパと“なかよし”の続きをしよう… 2人だけでゆっくりな』
「パパ…もう由里子そういうのやめにしたい!」
『どうしたんだ由里子?急にそんな怖い顔をして…』
「パパ、こんなのやっぱりおかしいよ!」
『今まではいい子にパパと“なかよし”してきたじゃないか…』
「イヤっ!―――私に触らないで―――!!」
うしろから腕を回してきたパパの横をすり抜け、私は携帯を握り締めたまま玄関へと走った。
体の痛みの為よろけそうになったが、何とかして外に出さえすれば、誰かに助けを求め逃げられると思った。
私はパパに気付かれないように、ドア横の観葉植物の鉢植えに携帯電話をそっと隠した。