……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-27
「部のほう、どうかな」
「うん、問題ないよ。先生が上手く仕切ってると思うし……」
「そ? そっか……」
「はは、大丈夫だよ……」
「そう……」
和彦が何を言いたいのかは充分にわかる。けれど、それをいえないのは彼の性格以
上に二人の立場と関係だ。
生徒と教師。しかもプラトニックではなく、身体で始まった関係。言葉選びをしよ
うにも齢十六の彼の語彙には無理な話。
「えっとさ、先生のこと? 何か用があるなら伝えてあげるよ……」
「いや、いいよ。悪いし……」
その悪いは誰にとって悪いのか? 穿って考えこんでしまう紀夫は自嘲気味に唇の
端を歪ませる。
「大丈夫だよ。俺、佐伯君と先生のこと知ってるし……」
「ん? マジで?」
「ああ、だから……」
「そっか……知ってるんだ。じゃあさ、俺、帰りの日にち、一日ずらして親に連絡し
てたからって伝えてよ……それで多分分かるから」
「そ? 分かったよ……」
「それじゃ、ありがとう……」
「ああ、合宿がんばってね」
一礼して去っていく和彦を少し羨ましいと思う紀夫。
一日ずらすということは一日空白を作ったということ。つまりはそれだけ……。
そしてそれ以上にお互い行為だけでなく、気持ちの上でも結びついていること。
――俺は……誰かを好きになれるかな?
肌を合わせても唇を重ねても、一つになっても他の誰かを考えてしまう自分が少し
恨めしかった。
**
給湯室にはテレビが置いてあったので、暇つぶしにチャンネルを回す。アンテナの
調子が悪いのか、砂埃が酷かったり線が引かれていたりと画質がよくない。
時間帯もバラエティー番組ばかりで特に見たいものも無い。それでもつけていたの
は雨音を紛らわせるため。
「おーい、紀夫くーん!」
「あれ、紅葉先輩」
ジュース片手にやってきたのはあまり顔を合わせたくない先輩、紅葉だった。
「災難だったね、こんな雨になるなんてさ」
「はあ」
ジュースを勧めてくれるので遠慮なくもらうことにする。
「でもさ、なんかドキドキしない?」
「なにがです?」
「だってさ、皆とお泊りするんだよ? 君の大好きな里美ちゃんとさ……」
やけに上機嫌なのはそのせいだろう。この紅葉という先輩はどうしても恋愛沙汰を
引っ掻き回したいらしい。