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強引な恋
【青春 恋愛小説】

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強引な恋-4

「…ちゃん!!おい、ねぇちゃんってば!!」
「え?」
「さっきから話し掛けてんだけど」
「あ、まじだ。ごめん」
あたしほんと今日おかしい。
「で、なに?」
「だからぁ、最近たくと一緒にいるけど付き合ってんの?」
「は!?そんなわけないじゃん!!」
あんな奴のことでむきになるなんて自分でもびっくりする。
「けどさぁ俺あいつならねぇちゃんのこと傷つけないと思うよ」
そう、まさも先輩のことを知っている。家に帰っても部屋に入ったきり出てこない、ごはんは食べない、泣いてばっかりの姉を、弟なりに心配してくれていた。
「あいつは…いや、いい奴だし」
まさは何か言いかけたが途中でやめた。あたしはたいして気にもせず、自分の部屋に戻ってCDをかけ、目を閉じ、流れてくる音楽だけに耳を傾けた。何も考えずに済むように…。

俺、大島たくは一人の女の子に恋をしたんだ。冬も終わりが近づき、春の暖かさがかすかに感じられてきた頃の話し。って言ってもほんの何ヶ月か前のことだけど。その女の子と初めて出会った場所はバス停だった。俺は受験する高校に願書を出しに向かうところだった。本当はみんなと一緒に出しに行くはずだったが、俺は寝坊して置いてかれた…。俺の隣で同じくバスを待つセーラー服の彼女は、ハニーブラウンのさらさらな髪の毛を風になびかせて、泣いていた。でも泣いてる彼女は見とれてしまうくらい魅力的だった。バスが来ても彼女しか目に入らない俺は、バスにも置いてかれた…。願書提出には一応ぎりぎり間に合った。彼女に話し掛けるなんて出来なかったけど、一つ分かることは彼女の着ていたセーラー服は俺の受ける高校の制服。つまり受かれば彼女にまた会える!!なんて単純な結論にいたった俺は、受験勉強も俄然力が入った。そして四月。俺は彼女と同じ学校へ通い始めた。バス通すると言ったら親にあっさり却下された俺は、その日もチャリで向かっていた。すぐ
に彼女だって気付いた。さらさらの長い髪から、くるくるの巻き髪になっていて、髪の色も化粧も派手になっていて、前より少し痩せていた。外見はすっかり変わってしまっていたけど、やっぱり彼女は見とれてしまう程、綺麗だった。でもどこか寂しげで、そんな彼女に俺はもっと惹かれていった。そのすぐ後に、同じクラスの澤口まさとの姉だということを、まさ本人から聞いた。とゆうか、彼女とその日2ケツしていたあいつに俺が問いつめたからなんだけど。まさとはサッカーってゆう共通の趣味もあって、俺達は部活も一緒で仲が良かった。部活の後、他の友達とかも含めてまさの家に遊びに行くこともしばしばだった。そんなある日、まさの家に遊びに行った時、いつもいない彼女が偶然帰ってきていて、少し離れた部屋から音楽が漏れていた。

「ねぇちゃんだ。ったくまた爆音だよ」
「この曲…」
「お前も‘DEF’知ってんの?よくこんなマイナーな音楽知ってんなぁ」
まさは勘違いしていた。初めて聞いた曲だったが、どうしても彼女と接触したくてまさには嘘ついて申し訳なかったけれど、CDを貸してもらえないか頼んだ。初めて見る彼女の部屋は女の子の部屋とは思えないくらいシンプルだった。赤いソファーで雑誌を読んでいる彼女はだぼだぼのスエットを着ていて、なんかそのルーズさが余計可愛く思えたりして。って俺、変態?…まぁそんなことは置いといて、緊張と興奮を押さえながら家に帰った俺は、すぐに、貸りたCDをコンポにかけた。そこからは聞き慣れないメロディーに英語の歌詞。でもなんか落ち着く、この歌声。インディーズであることすら不思議なくらいいい曲ばかり。ベッドの上に寝そべって歌詞カードをめくりながらそんなことを思っていた。すると1枚の紙が落ちた。「なんだ?」俺はただなんとなく開いてしまったんだ。それがどんな内容かも知らずに…俺の頭の中は真っ白になった。その紙につづられていた彼女の想い。そしてその想いを向けている相手はよりによってあいつだった。浅沼かずき、サッカー部の部長、とにかくチャラ男。俺は初めから浅沼をよく思ってはいなかった。あいつがする話しといえば、あの女は顔はいいけど足が太いだとか、今年の1年はブスばっかりだとか、とにかく腐り切っている。でも部長だけあってサッカーもそこそこうまいし、顔もかっこいい方だからもてるんだよな。


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