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強引な恋
【青春 恋愛小説】

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強引な恋-5

寂しげな彼女の表情も、外見の変化も、きっと浅沼が原因だろう。あんな奴に…許せなかった。俺が彼女を笑顔にさせてあげたい。俺は心からそう思ったんだ。こうして少し(?)強引な俺の計画は始まった。俺のこと気に入ってくれるまで言うことを聞けだなんて、ぶっちゃけ自分でもめちゃくちゃなこと言ってるって分かってる。でも何をしてでも彼女のそばにいて、彼女を変えてあげたかった。最初は俺の顔すら見てくれなかった彼女が、最近になって俺に向かって笑いかけてくれるようになった。そんなある日の昼、部活のミーティングで俺は部室に行った。そこにいたのはあいつ、浅沼だった。部長だからいるのは当たり前だけど。まだあまり人が集まっていなかったから、
それぞれ話しをしていた。浅沼もいつも通り友達と女の話しをしていた。
「女欲しいなぁ」
「この前の女子校の女はどうしたんだよ」
「だるくなったから別れた」
「ほんとお前続かねぇなぁ。1個下のあの子、なんだっけ?えなちゃん!!お前にしてはよくあんな続いたなぁ」
「あいつ騙すの簡単だから浮気してもばれねぇんだよ。まぁ結局ばれてだるくなって振ってやったけど。でも最近前より可愛くなったし惜しいことしたなぁ。暇つぶしに遊んでやろっかな」
そう言ってあいつは笑ってやがる。俺は我慢できなかった。彼女はずっとずっと想っているんだ。こんなしょうもない男だって知らずに。気付いたら俺は浅沼をぶん殴っていた。そしてサッカー部を辞めさせられた。部長の権限ってやつで。やり返してもこなかった。あの腰抜け野郎。5限目、俺は屋上でさぼっていた。
「お前最高」
後ろで声がして振り返るとまさが笑っていた。
「すっげぇすっきりした」
俺も笑って返した。
「ねぇちゃんなんであんな奴なんか引きずってんだろうな。見る目ねぇな…」
「好きになっちまったもんは仕方ねぇんじゃん?」
口では強がって平気な風に言ってみたけど、俺の顔はそうは言ってないだろう。
「お前、本気なんだな。俺、お前なら許せるよ」
「何おやじみてぇなこと言ってんだよ」
俺達は笑い合った。
「今日、天気いいな」
「おぅ」

夏休みまで1週間を切ったある日、今日もあたしは居残り補習。なぜって?それはもちろんテストが悲惨だったからで、2週間前から補習だらけの毎日。しかも最近あたし変だ。奴といることが自然になってきて、一緒にいない時もなぜか奴のことに頭がいってしまうし、いつも一緒にいることが当たり前で。
「おつかれ」
そんなことを考えていると、奴がにこっと笑って缶ジュースを渡してきた。奴はあたしの補習が終わるまで待っていてくれている。奴には部活があるはずだけど、なぜか前よりも一緒にいることが多くて、なんか嬉しかったりして。
「ありがと」
あたしもにこっと笑った。
「今日もいい子いい子」
ばかにされてむっとしてみたりするけど、頭を撫でる奴の手は凄く優しくて、落ち着くんだ。
「ずっと…こんな日が続けばいいな」
自然と恥ずかしいことを口にしてしまったことに気付いて、
「なんてね」
と慌てて付け加えた。心なしか奴の顔も赤い気がして可愛かった。
「なんだよー」
無邪気に笑う奴。別れが来るのが怖くていつも嫌なことばっか言って、素直に伝えられない。でもね、ほんとにそう思うよ。このまま変わらないでほしい。ずっと隣で笑い合っていたい。だからこそ言えない。


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