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『メモリー』
【女性向け 官能小説】

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『メモリー』-2

「今から用事あるの?久しぶりだから、食事でも…?」


『うん。旦那出張で居ないし、たまには羽根でも伸ばすかな。』


 食事の最中、由美と話をするうちに、未だ由美の事を想っている自分に気が付いた…


 高校生の時、肝心な所で煮詰まらない性格の僕は、由美に告白出来なかった…今、自分とは違う世界にいる由美が随分と大人の女性に見えた…


 実家に泊まると言う由美を送る為に、夜の街を二人で歩いた…人通りの少ない狭い路地を歩いていると、僕達の脇スレスレを一台の車が猛スピードで走り抜けて行った…


次の瞬間…


「由美の事、好きなんだ…」


気が付くと、由美を抱き締めていた。自分でも驚く様な大胆な行動だった…


『相変わらずタイミングが悪いんだね、真也は…』


 恐る恐る由美の顔を覗き込むと、ポロポロと大粒の涙が溢れ落ちていた…


「ごっ、ごめ…」


僕の言葉を遮る様に、由美の唇が、僕の唇を塞いできた…


『その言葉、もっと早く聞きたかったよ…真也のバカっ…』


 由美の目から再び涙が溢れてきた…



 繁華街に戻り、路地一本裏に入ったホテル街の一室で僕は、由美と向き合っていた…


 派手な壁紙と照明、聞いたことのない洋楽が部屋の中に流れていた…僕の心臓は破裂しそうな位、激しく鼓動していた…


 由美の肩をそっと抱き寄せ、唇を近付ける…


『ちょ、ちょっと、待って…』


 由美は左手の薬指にはめた金色のリングを外し、そっと鞄の中にしまった…


 水色のトレーナーの上から、ギュッと由美の小さな胸を握り絞める…


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