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『メモリー』
【女性向け 官能小説】

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『メモリー』-1

「あっ、ご免なさい」


『あれっ?真也?私…分かる?』


「由美…」


『久しぶりだねぇ〜』


 通勤ラッシュの駅のホームで肩と肩が、ぶつかり合ったは、高校の時の同級生、由美だった…実に18年振りの再会だった。


由美の後ろでセーラー服の少女が由美の肘を引っ張り、この人誰?と由美に目で合図をしていた…


『ママの同級生…大越さんよ』


「初めまして」


 少女は恥ずかしそうに、ペコリと頭を下げると、由美の後ろに隠れてしまった…その容姿や仕草が、あの頃の由美にソックリで、僕の頬は緩んでいた…


 定員を遥かに越えた乗客を乗せた電車が、ホームに滑り込んできた…


 毎日、毎日繰り返される、ウンザリする様な日常が、今日はまるで違って見えた…今、僕の目の前に、あの頃より年を重ねた由美が居る…満員の車内で、ピッタリと体を密着させた由美に、悟られるのではないかと思う位、僕の心臓はバクバクと破裂しそうになっていた…


 二つ目の駅で、セーラー服の少女は、由美に小さく手を振り、僕に会釈をして電車を降りて行った…


「学生時代の由美にソックリだね…」


『ハハッ…でも、お互い年取ったよねぇ』


 あの日から、もう18年経つのかぁ…


一浪した僕は、未だ学生だった。由美は短大を卒業して就職…一年も勤めずに寿退社したと、風の便りに聞いていた。


あの日も、今日みたいに偶然出会ったんだよなぁ…



地元の繁華街、夕暮れ時だった…


「由美?…」


『あっ、真也…』


「結婚したんだって?おめでとう…」


『うん…』


 活発で、クラスでも憧れの的だった由美が、どこか沈んで見えた…


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