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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯2/近くて遠くて-3

彼と出会って…幾日もの日々が過ぎていった…
彼と出会ってからというもの…時が経つのが本当にはやい気がする…
彼と出会ってから…私は変わったのだろうか?変われたのだろうか?
彼との時間を振り返っていると、いつの間にか…いつもそんな事を考えている…
彼と出会ってから…笑うことが多くなった…
彼と出会ってから…怒ることも多くなった…
そして…彼と出会ってから…悩むことも多くなった…
彼と出会ってから…私は変わった…それが良いことなのか悪いことなのか…私には分からない…
でも私は良かったと思いたい…そう思いたいんだ…アカネ
私達は…どちらかが『また会おう』と言うまで同じ時を過ごす…
私にとっては何物にも代え難い…とても大切な時間…
だが…彼にとっては?
彼と出会ってから…明日を向かえるのがとても楽しみになった…
彼に会える“かも”しれないから…
だけど…それと同時に不安でもある…
彼に会えない“かも”しれないから…
この苦しさはなんなのだ?
素直に彼に触れられれば苦しさは解消されるのか?
彼の頬に触れた…あの温かさが忘れられない…
彼に触れたいって思う…
でも…触れた後に私は何を望むのだろうか?分からない…
素直に気持ちを伝えたら…苦しまずにすむのだろうか?
素直に気持ちを伝えたら…私は…私たちはどうなるのだろうか?
そもそも私は…彼に何と伝えたいのだろうか?
お母様なら…答えてくれたのだろうか?
お母様なら…分かってくれたのだろうか?
お母様が側に居てくれたら…分かったのだろうか?
“普通”の女子ならば…分かるのだろうか?
私だけが気づけないのだろうか?

気が付くと…
また不安が私を満たしていく…
彼の前では笑っていられる…
でも彼と別れると…
いつの間にか、こんな事ばかり考えてしまう…
こんなのは私らしくないって思う…
自分がこんなだからこんなふうに考えてしまうのだろうか?
わからないんだ…気づけないんだ…
彼の気持ちが…
自分の気持ちに…
そして…悩みはまた…巡り巡る…



それは僕らが出会ってから何度目かの土曜日…
その日の彼女は何か急いでいた…
駅前をうろついて(彼女を探して)いると、息を切らせた彼女が走り寄って来る…
顔を高揚させながら詰め寄ってくる彼女…
「………ふぅ、探したぞ!まったく…ジッと待ってれないのか?」
彼女も探してくれていたんだと思うとちょっと嬉しい…
「いや…まぁ俺も探してたもんだからさぁ」
「まぁいい…ついて来い!どうせ暇だろう!」有無を言わさず引っ張られていく俺…
彼女の方が力が強いから、文字通り引っ張られていく…
(うぉ…手ぇ握られちった!)
まぁ、そんな情けない状況ながら僕の脳内はそんなことしか考えてなかったんだけど…
連れてこられた古びた道場…武家造りのけっこう立派な建物だ…
まぁ、彼女らしい場所ではあるが…
「ここで何かあるの?」
「うん、死合いだ。」
(頼むから試合と言ってくれ…)
「つうか、試合って…まさか俺と…?」正直ゾッとした…訳あって一年くらい竹刀を握っていないし、何よりそもそもレベルも違うだろうし…
「いや、それも良いが…相手は他の者だ。」
「…そうなんだ」
内心かなりホッとした…う〜ん、まだ死にたくないからねぇ…
「うむ。今日の試合は外せないんだが、そなたとの約束もあるからな…だから付いて来てもらった」
あの“また会おう”って言葉を約束ととらえてくれている…それが何か嬉しかった。
「では、道場の脇にでも座っていてくれ…正座してな」
そう言うと彼女は、いつものように風呂敷に包んだ長物(今日は何故か二つある)を手にとって、更衣室へ入っていった…
(道場での礼節くらいわきまえてるよ)
僕は正座して道場を見渡す…
(そういえば、アキラの試合を生で見るのは初めてだなぁ)かなり楽しみだ…結果オーライ
道場を見渡していると、道場の隅で正座している女性と目が合った…
髪は短く刈り込まれ、体格もアキラなんかと比べるとかなり大きい…女丈夫という言葉が当てはまる…そんな感じの女性だ…
「何か?」
「あいや…何も」
彼女の雰囲気にちょっと気圧されてしまう僕…
(アキラとは違った感じの威圧感?アキラは静かな感じだけど、この人は重たいような苦しいような)
そんな事を考えていると、ガラッと音がする。
「待たせてしまったな剣持…では始めようか…」
その言葉に、え?警部ですか?と反応してしまう○○少年の事件簿愛読者な僕…
「あぁ…だが私は、佐々木小次郎のようなヘマはすまい」
「ふん…待たされたのは私のほうだ…今年の決勝は相手がそなたでなくて少々興ざめだったからな…剣持美雪」
剣持……美雪……?
安直な…あの作者め、簡単に考えやがったなぁ…


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