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操れるかも! 操られるかも!?
【その他 官能小説】

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操れるかも! 操られるかも!?-28

俺は学校に着くと野球部の部室へと歩を進める。
 授業開始にはまだ大分時間があるので、大介か千佳でも
見つけて朝練につきあうか暇を潰すかするつもりでいた。
 美奈子も後ろをついてきた。

 部室のドアを開けると、そこにはいつも通り掃除中の千
佳がいた。
「よお、お掃除ごくろうさん」
「あ、斉木先輩……朝練には参加しないんですか?」
「大介は?」
「さっき締めの校外ランニングに行きましたけど」
「じゃあ、今日のところは遠慮しとこう」
「……最後の夏くらい真面目にやったらどうですか?」
「いちおう五年も真面目に野球やってきたんだから少しは
大目に見てよ」
「そんなことじゃ大橋先輩に追い付けませんよ」
「焦ることねえよ。それに俺は大介に勝つために野球始め
たわけじゃねえし」
 千佳のほうきを動かす手が止まり、俺の方をじっと見つ
める。俺はなにか変なこと言ったかな、と思い今言ったば
かりの自分の言葉を思い返す。
「……どういう心境の変化ですか?」
「へ?」
「……私には斉木先輩は昔から大橋先輩に勝つために頑張
っていたように見えましたけど」
「……」

 ……千佳の言う通りだ。俺のこの五年間は大介に勝つこ
とを目的として過ぎていったはずだ。
 俺の中で大介の存在に対する思いが変化している。
 いや、大介に対してだけじゃない。千佳にだって、美奈
子にだって、由希子さんにだってそうだ。もしかしたら親
父に対する思いだって変化しているかも知れない。
 でも、それがなぜかはわからない。
 斉木家の力を手にしたせいだろうか?
 それとも別の要因があるのだろうか?
 そして、その原因は知っておかなければいけないものな
のだろうか?

「先輩?」
 その声に我に帰ると、俺の顔を千佳の不思議そうな顔が
見つめていた。
「え? あ、いや、なんでもない」
「なにかあったんですか?」
「いや、ちょっとぼ〜っとしてただけだ」
「う〜ん、朝っぱらから叩きすぎちゃったかなぁ?」
 校庭をうろうろしていた美奈子が部室に入ってきた。
「あ……高杉先輩……おはようございます」
「千佳ちゃん、久しぶり〜」
「は、はい……」
「中学の時は圭ちゃんたちと喫茶店によく来てくれてたの
に、最近は全然来てくれないね〜」
「先輩たちが高校に進学してからは、あんまり会わなかっ
たし行きづらくて……」
「でもこうやってまた同じ高校に通ってるじゃない。せっ
かくだからまたうちの喫茶店に顔出してね。お姉ちゃんも
喜ぶから、ねっ」
「……は、はい」

 千佳は美奈子を苦手としている。中学の時からそうだ。
先輩後輩の上下関係を強く感じているからだろうか? そ
れとも単に性格的なものなのだろうか? 美奈子に対する
千佳の態度は相変わらず固い。


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