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フェイスズフェターズ
【ファンタジー 官能小説】

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フェイスズフェターズ 一話「欲望の都市」1-14

「旦那様ぁ、まだ着替え終わらないんですの?」


 唐突に浴場の扉が開き、中から褐色の肌をした女が顔を覗かせた。何も服を纏っていない。つまり全裸だ。リタが呆然とその女を見つめ、次に何かの行動に移る前に、女はすたすたとリタに近づきその手を取った。揺れる見事な乳房を隠そうともしなかった。


「もう待ちくたびれましたわ。あら、旦那様、とってもお若いのね。ふふ、大丈夫、ここはいろんな方がいらっしゃいますから、大丈夫よ。さあさ、旦那様も早くお着替えになって」


 予想以上に客が若く、整った顔立ちなのに喜んだのか、女は若干言葉を崩しながらリタの服を脱がせにかかる。リタは慌てて止めようとしたが、騒ぎになることを恐れて本気で抵抗は出来ない。「待ってくれ」「違うんだ」と必死に説得しようとしても、女は聞き入れずに恐ろしい手際の良さでリタの服を脱がしていく。そして、リタがわけもわからぬうちに、一糸纏わぬ姿にされてしまった。当然、リタの下半身には男のシンボルはなく、つい数秒前までうきうきとリタの服を脱がしていた女が驚きの表情をそこに向けている。


「あ、これはだな……つまり私は……」


 リタがあたふたと言い訳を考えていると、驚いたことに、女はにやりと笑ったのだ。そうして小柄なリタの背中と膝裏に腕を回すと、簡単に持ち上げてしまう。そしてすたすたと浴場の中に入ってしまった。


「大丈夫ですよ旦那様……いえ、奥様……違うわね。お嬢様。ここには『そういった方』もいらっしゃいますから。きちんとご奉仕いたします」


 わけのわからないリタは、大きな浴槽がある浴場に連れられ、低い椅子に座らされる。そのときになってようやく、浴場の中にもう一人女がいることに気づいた。二人とも、褐色の肌をした現地の女であり、豊満な乳房と、くびれた腰を持っている。ニコラも恐らくこのような体をしているのだろうが、ニコラと違って彼女たちには色気があった。ニコラにそれが無いわけではないが、彼女たちには妖艶さがあるのだ。男を虜にしてしまうような、甘い毒が。その女達が、リタを前に短い相談をしている。「随分と可愛いお客様ね」「こういうところに慣れてないみたいだから、あたしらがリードして……」「なんだがワクワクしてきたわ」そんな会話が聞こえてくる。

 リタには未だにこの『個人浴場』が何をするべき店なのか理解できていなかった。修道院で育てられたために下手な人間よりも教養のあるリタではあるが、まだ世間知らずなのだ。それに対して、リタの頭上で言葉を交わしていた二人の女は物知りであった。リタが知らないようなことを知っていたのだから。

 女達はおもむろに浴槽に溜めてあったぬるま湯を桶に汲むと、リタに頭から被せた。そしてリタが抗議の言葉を発する前に、石けんを泡立たせてリタの体を洗い始める。--彼女の体自身で。リタの背中に、豊満な乳房が当たっている。後ろの女は、慣れた手際でその乳房を上下に移動させてリタの背中を洗いつつ、両手を使ってリタの胸を洗う。細い指が、リタのまだわずかにしか膨らんでいない胸をゆっくりと這う。それは明らかに洗うことを目的とした指使いではなかった。決してリタの乳房の突起には触れず、ゆっくりと、その周辺を撫でていくものだ。いつの間にか前方に来ていたもう一人の女も、手を泡立たせてリタの太ももに指を這わす。


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