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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯1/ラストサムライガール-5

リーンリーンリーンリーンリーンリーン
駅前の大時計が6時になったのを告げている…
「しまった…もうこんな時間か…」
「すっかり話しこんじゃったな…」
「あぁ…しかし有意義な時間だったぞ」
「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ…」
…お互いに次の言葉が出てこない…彼女も少しは名残惜しいと思ってくれているのだろうか…
「…“また会おう”よ…な?」
僕なりに勇気を振り絞り出てきたのがその一言だった…
「ああ…“また会おう”」
彼女がそう笑顔で返してくれたのが何とも嬉しかった…

それから中学生活最後の数ヶ月、僕らはそんな日々を何度となく繰り返した…
どちらともなく声をかけ、何気ない会話をし、別れ際にはお決まりのあの言葉…『また会おう』
僕にとってはホントに有意義な日々だった…決して何かが進展したとか…悲しいかな、そんな色気のある話題は出たこともないんだけど…
彼女と話せるだけで良かった…彼女が側で笑ってくれている…
ただそれだけで、すごく嬉しかったんだ…
彼女にとってもそうであってくれたならば良いなぁと思うんだけど…

そして卒業式…
仲の良いクラスメイト数名とは進学先が同じなのでそれほど悲しくもないんだけど…
(それでも何かこう…グッとくる感慨深いものがあるよなぁ…)
そんで最後のホームルーム…
うちの担任は何だかサバサバしたもんで、卒業式での感動もちょっと薄れてしまっていた…
(な〜んか薄情な先公だよなぁ)
「これからお別れ会しようって話してるんだけど朝比奈くんはどうするの?」
一年の頃から片思いしていた和泉さくらさんが話しかけてきた…
(さくらちゃんと話すの昔ほど緊張しなくなったよな)
「あ〜ダメダメ…こいつは何時ものがあるから…」
「熱々ですね〜」
「そんなんじゃねえっての!」
僕がアキラを探しに行くのは、この数ヶ月で日課になっていたから、友人たちの冷やかしにもうろたえることもない…
「そっかぁ…残念」
(さくらちゃんが残念がってくれてる?数ヶ月前ならば泣いて喜んで着いていっただろうけど…)
「じゃあお先!」
僕は少し後ろめたさと名残惜しさを感じつつも、教室を後にした…

僕らはいつも別れ際に約束をとりつけることはないから、会えるかどうかは分からない…実際にすれ違った日も少なくはない…
(だけど…今日はなんか会えそうな気がするんだよなぁ…)
今日の気候は、初めて彼女に出会った…あの日とよく似ていた…
(今日まで聞けなかったけど…どうしても聞かなきゃならないことがあるんだ…)

「よし!今日はとことん待つぞ!」

心地よく肌を撫でる風が…冬の終わりを…そして…春の訪れを告げていた…


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