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Dear.
【悲恋 恋愛小説】

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Dear.She and I-3

Dear 晃司くん
○月×日
女子校受かりました!!
晃司くんも受かったってね。
会えるかな、会えるといいな。


日記の中の彼女は、晃司に会う事を心から楽しみにしている。
でも晃司は小百合を好きになった。
ページをめくる事がだんだんと怖くなってきた。
ショックを受ける彼女なんて、たとえ日記の中でも見たくない。
恐る恐る読み進めると、再びの違和感が。


Dear
○月×日
高校で友達になった小百合。最近彼氏が出来たからって写メを見せてもらったら、何かどこかで見た事がある人だった。名前を聞いたら「栗原晃司」って。
私、今まで誰が好きだったんだろ。
晃司くんじゃなかったんだ。
あなたは、一体誰なんですか?


…?
どういう事だ?
晃司じゃない?
二転三転する彼女の日記に翻弄されながらも、一喜一憂しながら読み続ける。


Dear
○月×日
明日、小百合の彼に会う事になりました。
あなたの事、聞いてみようかな。


やっと『あなた』が判明するのか。
晃司でないなら誰だろう。
俺も絶対に知っている奴だ。なんせ同じ中学だからな。
ゆっくりと次のページへと向かう。


《Dear 木ノ下賢悟くん》


そこに書かれていた、当時の彼女は知りえない筈の名前。
知りえない筈の、俺の名前。


Dear 木ノ下賢悟くん
○月×日
やっと、やっとあなたがわかりました。
あの時貸してくれたタオルに書いてあった「K.K」ってイニシャルでまみちゃんに探してもらって、晃司くんしかK.Kのイニシャルの人はいないんだと思っていました。晃司くんとも仲がいいんだね。写真、一緒に写ってたから、私もまみちゃんも勘違いしたみたい。
賢悟くんは、私の事覚えてるかな…


読んで、中学の頃を思い出す。
確かに俺は、母ちゃんが刺繍で『K.K』と入れてくれたタオルを部活やらで使用していた。
考えてみれば、誰かが血を流して座り込んでるのを見て、タオルを差し出した事もある気がする。
あれが彼女だったのか。
俺が彼女を知るずっとずっと前から、彼女は俺を知っていたのか。
…俺が、彼女を好きになるずっとずっと前から、彼女は俺を好きでいてくれたのか。


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