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Dear.
【悲恋 恋愛小説】

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Dear.She and I-2

Dear
○月×日
こんにちは。私は西山志穂といいます。今日からどうぞよろしくね。


一番最初の日記はこれだけ。
自分に自己紹介してるみたいなもんだな、と笑いが込み上げた。
日記は、殆ど毎日のように綴られていた。
学校であった事を中心に、今好きな事、好きな物、テレビ番組、友達や家族の事等。
俺の知らない彼女が、この中でキラキラと輝きながら生きていて、なんだか胸の詰まる思いがした。
ペラペラと見ていて、ふとした違和感に手が止まった。
相手…、Dearの先が書いてある。


Dear あの人
○月×日
今日は、小学校の頃に転校しちゃった友達のバスケの試合を見てきたよ。少し遠かったけどちゃんと1人で頑張って行って来た。えらいでしょ?
女子と男子、どっちの試合も見たけどスゴい迫力だった!スゴい興奮した!!
…でも、それで私、転んで鼻血出しちゃって。
1人でテンパってたら、タオル、差し出してくれたよね?あの時、本当にありがとう。
あなたの名前は何ですか?あなたの事が知りたいです。


胸の中がモヤモヤと不透明になってきた。
中学の頃の思い出であるにしろ、彼女が好きだった人の話を見るのは面白くない。
面白くはないにしろ、見てしまったのならと腹を括ってページを進めた。


Dear あなた
○月×日
ユニフォームから、あなたとまみちゃんが同じ学校だという事がわかりました。あ、まみちゃんって私のあの転校したお友達なんだけど、知ってる?
もう少しで名前もわかるかもしれません。
なんだか、ドキドキするなぁ。


当時の彼女のドキドキに比例して、俺の鼓動も鳴り始めた。
どんな奴が出てくるのか。バスケって事だから、俺の知ってる奴だったらどうしよう。
ページをめくって目に入った名前に、俺は我が目を疑った。


Dear 栗原晃司くん
○月×日
やっとあなたの名前が判明しました。
晃司くんっていうんですね。
お友達と4人で写ってる写真も手紙で送って貰っちゃいました。私なんかが持っててごめんね。
どうしよう。どうすればいいのかな。
どんどん、好きになってるみたいです。


…まさか。
彼女が晃司の事を好きだったなんて。


Dear 晃司くん
○月×日
いよいよ高校受験ですね。男子校に行くって聞きました。
男子校にはさすがに行けないけど、あそこ近くに女子校があるんだよね。
少し遠いけど、私そこに通う事にしました。
もし受かれば、晃司くんに会えるかな?


彼女が親に無理言って通わせてもらった高校。
その理由は何となく聞きそびれていたが、まさかこんな形で知るなんて夢にも思わなかった。


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