ふつう-第七話-4
「いらっしゃいませ。あっ、パツ子」
「ど…どーも。来ちゃいました」
「おう。てかパツ子の私服見たの、何気に初めてかも」
「そうだっけ?」
「学校の制服か、バイト先の制服か。制服ばっかり」
「あ、そうかも」
「で、今来たの?」
「ううん………40分くらい前かな?」
「えっ、そんなに?」
「うん。清さんのとこにいたの」
「えっ、知り合いだったっけ?」
「うん。ちょっとねー。買い物もしたよ」
「あ、それはありがとうございます」
「まぁ、清さんが代わりに社販してくれるんだけどね…」
「あー、なるほど。きよらー得意だからなぁ。で、メンズでも買ってってくれるの?」
「えっ!?メンズは私着れないし…」
「そう?でも俺レディース着ることあるし、たまに女の子がメンズ買いにくることもあるよ」
「そうなの!?」
「うん。今俺が着てるカットソーはレディースだし、あそこのスタッフ…あの人が着てるパーカーもレディースだよ」
「えっ!?」
「あと、さっききよらーのとこいたんでしょ?きよらーの着てた白シャツ、あれはメンズ」
「えっ!?そうだったんだー…。てか鷹丸くん、レディース着れるんだね…」
丈が膝までもある大きな黒いパーカーを羽織って、またしても黒い、デカイ、不思議な形をしたパンツを履いているのだが、そのインナーのカットソーは確かにピタピタ…。
そういえばプールの時に見た鷹丸くん、めっちゃ細かったな…。
「物によるけどね。まぁだからパツ子もメンズ着てもいいんじゃないかと」
「それとこれとは別な気が…。そういえばさ、今鷹丸くんが履いてるパンツ面白いね。それもブランド?」
「あーこれ?これ自分で作ったんよ」
「えーっ!?すごい…」
「すごいことないよ。うちで扱ってるブランドの方が遥かにすごいし」
「や、そりゃプロと比べればそうだけどさ…。でも鷹丸くんほんとに作ってんだね」
「まぁねぇ。独学だけど、ここのブランドの服とか参考にしてね」
「パターンってのも自分でやってるんでしょ?」
「あぁ、うん。てか何で知ってんの?」
「清さんに聞いたの」
「ふーん…」
「でもパターンってさ、具体的にどういう物なの?全然分からんのだ」