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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第七話-3

「はぁー…。あれ?ボタンの位置が…」

「あぁ、これはね、わざと逆にしてるの。普通レディースって左にボタン、右にホールなんだけど、これはわざと逆にして、メンズの作りをしてるんだよね。あと専門的な話になっちゃうんだけどね、ここの上衿とこの台衿、あとここのカフスの生地の取り方も、地の目っていうのを変えてメンズ仕立てにしてあるの」

「すごい…難しいですけど、さすが販売員さん…」

「まぁこんなのはお客様には不必要な知識かもしれないんだけどねぇ」

「でもこれ、ちょっと高いです…」

「あっ、そうだ、私が社販しようか?」

「いやっ…そんな…悪いです…」

「大丈夫、他の友達にもしょっちゅう社販してあげてるしさ、うち結構融通きくから」



そのままの流れで試着してみたら、やっぱり凄い綺麗なラインで、体にフィットした。
やべー…欲しいな…。



というわけで清さんが社販してくれることになり、また後日お金を渡して品物をくれるそうな。

なんと2万6000円が1万5千円に…嬉しいです。

ってか洋服って一体どんな価格設定なんだ!?
原価いくらよ!?



「ありがとね、救ちゃんっ」

「いえっ、私の方こそ…すいません」

「ううん、全然大丈夫だよ。私だって買うときはいつも社販だもんっ。だけど社員だけ得するなんてずるいからねー」

「そうですかね…」

「ま、気にしない気にしないっ。それより鷹のとこには行った?今日あの子入ってるよー」

「あっ…いや、行ってないです」

「あらっ。じゃこの後顔出してあげてよ。喜ぶからさぁ」

「はぁ…では…」



その後清さんのいるフロアーを出て、メンズフロアーへ。
私一人でメンズフロアーなんて…そもそも今までメンズなんて見たことないのに…。



「いらっしゃいませ」



うわっ…やっぱりスタッフも男性…。
っと、鷹丸くんは…。


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