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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第二話-2

「だって今までの俺の世界にはいなかったタイプだから。これも新たな出会いだよ」

「ふーん…」



鷹丸くんは人との新たな出会いが好きらしい。

この前こんなことを言っていた。



「だってさ、知らない人と初めて会って話をすると、知らない会話が出来るじゃん。今までの自分の世界がまた一歩広がるわけだから。それってすげえ喜ばしいことだと思う。だからどんなやつであれ話はしてみたいよね。その人が自分と合うか合わないかの判断も、まずは話をしてみないと分からないし」



って。
でも中々そういう風に考えるのって難しいと思う。

鷹丸くんは見た目以上に中身も大人っぽい。



「そういえばさ、鷹丸くんって髪型とか髭とかマニキュアとか、変わってるよね。高校生らしからぬっていうか何て言うか。その指輪とかピアスも大人っぽいし」

「そう?変わってんのかな」

「私にはそう見えるよ。よく言われない?」

「んー。まぁ言われるっちゃあ言われるけど。でも俺の連れは受け入れてくれてるけどね。そもそも“普通”って何?」

「えっ?」

「いや、パツ子が俺のこと“変わってる”って言うから」

「うーん……」

「俺は自分の価値基準の中では真っ当に普通でいるつもりなんだけど。でも周りから見れば俺は“変わり者”って扱いだし。それって何で?俺の見た目…例えば髪型とかマニキュアが珍しいから?」

「んー……。そういうファッションの人ってあんまりいないから、ねぇ。やっぱり目立つし」

「そのマイノリティだからって変わってるって思われるのが謎。だって言っちゃえば全てはその人の価値観と判断次第じゃん。自分で良いと思ってやってることが他人から“変わってる”って言われるのがよく分かんないんだよね。寧ろ俺から見ると皆の方が変わってるよ」

「…どうして?」

「例えばヘアースタイルだったり聴いてる音楽だったり、皆殆ど差異がないじゃん?」

「それが?」

「いや、だからさ、物が溢れて個人の選択肢が無限に広がってる時代なのに、何故か皆同じような方向に走るじゃん。没個性的っていうか。結局その人そのものにしかない個性が全く見えないんだよ。右を見ても左を見ても皆お揃いで」


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