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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第二話-3

「でも人と違うことをするのって勇気がいると思うからねぇ…」

「でも人が言う“良し悪し”は自分にとって意味が無いじゃん。例えば、ヒットチャートに出てる音楽は全て良質なの?それって違うよね。あれは売り上げの計上から作り出してるだけのことであって、そこには“数”はあれど“質”は存在してない。売れてるけど良いか悪いかはまた別の話でさ。でも大多数の人は盲目的にその“数”を“質”と捉えてしまってて。全ては自分の判断から生まれると思うのに。だからさ、その個人の判断力が鈍ってるんじゃないかって思う。人は顔だったり目だったり手だったり声だったり、その全てがそれだけでも個性なのにさ、わざわざ自分で自分の個性を潰してるようなもんだよ」

「…………うーん…」



休み時間の会話だぞ?
休む時間だぞ?

なのに私の脳は一向に休まらない。
それどころか全力で稼働中だ。



「あ、休み時間終わるね。悪いね、俺ばっかり話しちゃって」

「いえいえ、こちらこそ勉強になりましたよ…」

「え?」

「あ、いや、気にしないで…」

「…?」



授業が始まっても終わっても、頭がボーッとする。
というか逆に考えすぎてる。


鷹丸くんに言われたこと。
そして多岐野鷹丸という人物そのもののこと。

一体こやつは何なんだ?
なんであんなこと考えられる?
何食ったらあんな風に育つ?
ついこの前まで中学生だったんだぞ?
謎だ…。

ほんとに色んな意味で気になって気になって…。



「すくーっ」

「んー?」

「今日どうするー?帰りどっか寄ってくー?」



学校が終わったらだいたい大海と二人でどこかに行く。
カフェに行ったり、服を見に行ったり。
たまに公園で黄昏れてみたり。



「あ、私今日バイトだわ…」

「あーそっか。しょうがないねー。じゃ途中まで一緒に帰ろうぜー」

「おーう」



うちの学校は校則でバイトは禁止されていない。
だから生徒の6割近くはバイトをしている。

あとちなみに部活の参加も自由で、半分近くの生徒は不参加の状態だ。
その代わりに放課後になれば実験室や体育館や校庭等の校内のあらゆる施設は、部活を優先させた上で自由に生徒に開放される。

そのため放課後になれば気ままに運動したり、実験したり、調べ物したり、即帰宅したり、皆自由に過ごしている。
それが出来るのもうちの学校の魅力。

で、私は今日バイトってわけ。


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