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Dear.
【悲恋 恋愛小説】

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Dear.Daily life-2

***


暗闇に浮かび上がる肌色の光。
闇の帳が落とされた空には、幾千幾万幾億を超える星達が輝いている。
宇宙から見れば地球だって同じ星の中の1つな訳で、その星々を綺麗だと眺める俺達人間は、さぞ滑稽に見える事だろう。
木々の緑が風に揺れてざわざわと音を立て、まるで昼間の大学内の騒めきを聞いているかのようで不思議でならない。
今日晃司から言われた事が心の中で燻って、家の中にいるのを息苦しく思った俺は、自宅近くの小さな公園まで足を運んだ。
悩み事で夜の公園で夜風を浴びているなんて、我ながら青春してるなぁ等と思いながら、園内に幾つか設置されている簡易ベンチの1つに腰を降ろす。
「はぁ……」
座った途端に溜め息が漏れた。

『お前達の今の関係って、何?』

今日俺は、この質問を晃司に問われ、

『何っ…て、友達だよ、普通に…』

そう答えた。
友達。そう、友達。
志穂に対しての感情は、多分、今のところまだ友達。
志穂だって同じ気持ちだろう。
「…ていうか…」
どこからの『好き』が友達としての『好き』で、どこからの『好き』がそれ以上の『好き』なのか、二十歳になった今でも定かではない。
そもそも俺って、人を本気で好きになった事などあっただろうか。
ここまでの人生の中で、確かに何人かの女性とお付き合いをしたが、考えてみればそれらの全てが相手から告白されての付き合いで、自分から『この人と付き合いたい』と思った事は今の一度も経験した事がない。流れに身を任せてきた結果なのだ。
…あれ?俺ってもしかして、所謂草食系男子?何だか恥ずかしい。
でも、好きになった事がなかった訳ではない。少なくとも絵美さんの事は確実に好きだった。
ただ、その気持ちが軽いか重いかと問われたら、軽い気持ちだったと言わざるをえない。
「…俺って…何なんだろ…」
自分でも意味のわからない自問が風に飛ばされ、夜の闇へと溶けていった。
おもむろにズボンのポケットから携帯を取り出す。
受信ボックスを開けば、真っ先に目に入るのは『西山志穂』という名前。
返信ボタンを押して、メール本文入力画面に切り替える。
何を書こうかと数秒思案した後、画面を見ながら文字を打ち込んだ。
《こんばんわ〜。まだ起きてる?》
30秒程で打ち終わった本文を確定し送信する。
送信完了の画面を確認して携帯を閉じた。
初夏といえど、夜はまだ肌寒さが残っている。
こんなに寒いのなら、タンクトップとハーフパンツではなく上下ともスウェットを着てくるんだったと、今更ながら後悔した。


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