距離〜義明と琥珀〜-2
150センチにも満たない小柄な体格とかなりの童顔で、剛の言う通り猫のようなクリッとした目がチャームポイントの、部のマスコットでもある。
常に笑顔を欠かさずハキハキと物を言い、テキパキと動き気配りも上手い為に、部の中で彼女に不満を持つ人間は一人としていない。
琥珀が部に参加したことで二年の志気も向上した。
ちなみにハードコアとグランジと裁縫とダンスが好きで、練習中は専らバンドTを着ている。
特にお気に入りはALICE IN CHAINSらしい。
「おい、よっちゃん」
「んー?」
「調子いいじゃん」
「なにが?」
「ほら、ねこちゃんと」
「進、妬いてる?」
「バカか。俺年下は苦手だし、つかこの前彼女出来たばっかだし」
「あーそっか。でもねこちゃん彼氏いるっしょ。俺もこの前元カノと別れたばっかだし、そんなんじゃないよ」
「ふーん。でもねこちゃん絶対よっちゃんに気があるっしょ」
「はー?無いだろー。彼氏いるんだぞ」
「そうか?でも俺にはそう見えるけど」
「うーん」
「そういえば元カノとはどうよ?」
「どうもこうも、連絡も取ってないし。やっぱヤッてから付き合うのは良くなかったか…」
「順番は関係なかったんじゃねーの?」
「そうだけどさ…。まぁ学校違うのがせめてもの救いだわ」
「顔合わせなくて済むからなぁ」
「そうそう」
「でも彼女は欲しいんじゃないの?」
「そりゃね、僕もオスだから。欲しいよね」
「だろ?本音と建前は別だって」
「だからってねこちゃんは無いぞっ。まぁ俺の好みってのは否めないけどね。でもだからって彼氏いる子に手は出しませんっ」
「ふーん。つまんねーのー」
「人事みてーに言いやがって…」
「はーいここで休憩時間終了でーす!」
ねこちゃんの掛け声と共に休憩は終わり。
再び練習が始まる。