「望まぬ狂宴」-2
「…な、に?これ…」
両腕から延びるそれは間違いなく、
「枷ですよ。鎖で繋がれるなんて囚われの姫に相応しい格好じゃありませんか」
その鎖は首につけられた枷からも延び、両手の先でひとつの鎖として繋がっていた。
そして、その鎖の先は目の前の男がしっかりと握っていた。
「あぁっ!」
乱暴に鎖を引かれて舞はよろめいた。
「ほら、とっとと歩いてください。御前がお待ちなんですから」
しかし、こんな格好ではその申し出を素直に受け入れようもない。
「…あの、服を」
勇気を出して舞は言った。
「服?」
しかし、その男は聞き慣れない単語でも聞いたかのように、陰気に顔をしかめた。
「御前にはべるのにそのようなものは必要ないでしょう」
「でもっ…」
尚も言い募る舞にその男はキレた。
「頭の悪い女だな。君は自分の立場を理解していないのか?」
首の鎖を強く引かれて息が苦しい。
「大体、何で僕がこんな仕事をやらねばらならい。もっと下っ端の仕事だろう、これは!」
「くっ…ケホッ」
舞は苦しそうに咳き込む。
「あぁ、すまない」
それを聞いて男はようやく我に返ったらしい。
「兎に角、君の格好はこのままだ。花姫なら観賞されるくらい何ともないだろう?」
そんなことは決してないと思いながらも舞は大人しく男に従い牢を出た。
いくつかの階段を上り下りし、長い回廊を抜ける間、男は口を利こうとはしなかった。
すれ違う男たちに舞は散々、躯を触られたが、彼は蔑んだように舞を眺めるだけで決して男たちを咎めようとはしない。
「あっ、きゃあ!止めてくださいっ」
舞は抗議の声を上げるが、男たちは聞く耳を持たない。
「へへっ!そう言いながらもオネエチャン感じてんじゃないの?ほら、乳首勃ってるよ」
「オイラなら、副官みたいにお嬢ちゃんを歩かせたりはしねぇよ。M字開脚にしてバイブを突っ込んだまま連れ回してやんよ」
下卑た笑いに舞は躯を震わせる。
足が止まった舞にとうとう男が振り向いた。