エリザベス・悲劇の人形たちZ-4
「何て事を。…っで、その後はどうなったの?」
「施設側からすぐに警察に通報されて、エリザベスは逮捕されたんですけど、何日かして釈放されました」
「理由は聞いた?」
「確か…エリザベスがやったと言う、証拠がないって聞きました」
「そうっか」
「あの時はすっごく悔しかった」
「悔しかった?」
「釈放されたって聞いた時、私はすっごく腹が立ったんです」
「それでグロリアスは、エリザベスに復讐しようと考えたワケね?」
「復讐はオーバーな言い方ですけど。でもあの時、警察じゃあアテにならないって思ってたから」
「上の人たちから聞いた話しではね…、
公安局では、エリザベスを要注意人形としてマークしてたらしいわ」
「でも…マークしただけで、完全に身柄を拘束して裁判にもかけなかったですよね?」
「それでアナタが」
グロリアスは説明を続けた。
3年前にエリザベスが姉マルセルの元に住むようになってから…
グロリアスはエリザベスの事を色々と調べたり、機会ある毎に屋敷での暮らしぶりを姉から聞き出していた。
この時は既に…
グロリアスは、エリザベスが北の魔界でやって来た人形である事を掴んでいた。
知り合いのブラスト人の1人…ブルーレッドから人形の関する情報を教えて貰っていたのだ。
ブラスト魔王府ではフリーラムランドに特使を派遣した。
エリザベス…元・幸せ人形王国女王人形エリザベーラを独自で身柄確保出来るよう関係機関と交渉する為だ。
「公安局では、エリザベスの行動には一切関与しないって決まったけどね。そちらの方で、ご自由にって感じかな?」
「だから私、姉から倒れたのをキッカケに人形たちを手放そうと決めたんです」
「そう言えば、子供人形1体を、ルーシーに暴行させて捨てさせたみたいね?」
「子供人形たちに対する制裁です」
「ま、理由は聞かないけど、ちょっと可哀想じゃない?」
「…」
グロリアスは何も答えなかった。
シェリーの言う通り、確かに可哀想かも。
エリザベスから甘やかされて贅沢を覚え…
グータラで怠け者の人形に成り下がってしまったから、哀れとしか言いようがない。
だが子供人形たちも、エリザベスと同じように凄くワガママである事は間違いないのだ。