テノヒラ-3
「ねぇ‥さっきの返事、聞いてもいい?」
いつだって君は口数が少なくて、その声はか細い。
でもはっきりと聞かせて‥
その口から
その声で
その思いを
「すっ‥すき‥」
しゃくりあげた声で、顔を真っ赤にしながら、子供みたいに涙を拭って言うもんだから可愛くて仕方ない。
「すっ‥」
大事なことは小さな声で、誰にも聞かれちゃダメだから‥
その口を塞ぐと、君は驚いてたけど目を閉じた。
次に開けたとき、世界は輝いて見えると信じて、俺も瞼を閉じた‥。
手のひらの痺れは
いつしかなくなり
その手の先には
大事な人が
微笑んでいてほしい
〜fin〜