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fantasy ability
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reality ability‐第12話‐“真実”の敵、‥‥ナイトメア・アビス──‐-3

「ぐっ!?」
「うっ!!??」

黒神と佐神は門の結界が壊されると同時に、禁断詠唱が解かれた。確かに連動していた。2人とも苦しそうに座り込んだ。
身体の紋様が消えていき、顔色は死人みたいに白かった。呼吸も乱れていたが、目付きは全員を睨んでいた。
凰輝と羅紅が黒神の前に、誠慈と誑笥が佐神の前にそれぞれ立つ。だが、攻撃はしなかった。

「‥‥どうしたんです?‥はぁ、‥はぁ。来ないならこちらからいきますよ!?」

黒神が凰輝の心臓を狙うが、凰輝は簡単に弾き返した。黒神はその反動で後ろによろめきながら倒れる。

「やめておけ。もうお前らには力は残されてないはずだ。」

凰輝が剣で黒神の身体に向けながら言った。牽制の為の行動だろう。

「くっ!」

黒神は言い返せなかった。当たっているからだ。身体に力は残されてないように剣を持つ事が出来なかった。
とそこに、黒神と佐神を狙った二筋の線が凰輝と誑笥によって防がれた。誑笥が最上階のカオスを見た。もちろん、放ったのはカオス。
カオスの表情は見えなかったが、この行動は黒神と佐神を捨てたという意味を持っていた。何故ならば狙いは2人の心臓。
活かす価値がないからだ。そう、元四天王である誑笥は解っていた。カオスにとって2人も誑笥(じぶん)も捨て駒に過ぎないからだ。
皇希が無言で門を開け駆け出す。その勢いは目で追えないぐらいだった。意外な皇希の行動に4人は見ているだけだった。
皇希は扉も開け城に入っていった。織音だけは動揺もせずに皇希の後を追いかけていく。
2人の行動をただただ見ているだけの4人は黒神と佐神の事を忘れていた。だが、2人も皇希と織音の行動でもうどうでもよくなったらしい。
それ故にその場に倒れ、冥界の薄暗い空を見ていた。2人とも何を思っているかは解らないが、信じられない行動に呆れたのは確かだ。



‐数分後‥‥、城内の廊下‐

皇希は目の前に現れた邪神を斬り進んでいく。次々と現れては次々と消えていき、その行動はまるで無限のループ。
その行動で呼吸が乱れない皇希。その体力はいつの頃からか無尽蔵だった。織音はその体力の正体を知っている。
それは織音の日課である素振りを皇希と一緒にやっていた頃の事である。織音が終わる前に皇希はいつも先に部屋に帰り寝る。
だが、織音が部屋に帰り寝ると皇希は起き部屋からこっそりと抜け出す。もちろん、やる事は素振りの続きであった。
こうして、皇希は独りで夜中の4時ぐらいまでやっていた。この事は織音だけじゃなく、凰輝に梛、誠慈も知っていた。
朝、織音が起きると皇希は隣で眠っている。寝息は静かで疲れている表情ではなかった。織音はそんな皇希を難しい表情で見ていた。
だから、あの時の皇希の腕にはマメがあったのだ。それは隠される影の努力の証。だが、まだ皇希が人間だった時の話。
現状はどうであるかは織音には解らない。何故なら皇希には秘密が溢れるように増えていくからだ。無限にあるように思えた。

「‥‥織音。大丈夫か?」

不意に皇希が話し掛けてきた。表情は解らないが珍しい事だ。

「‥ええ。大丈夫よ?‥‥何で?」

織音は皇希のハイペースに余裕ではないが、普通に追い続けている。織音には理由が解らなかった。


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