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小悪魔たちに花束を
【学園物 官能小説】

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小悪魔たちに花束を【新天地編】第一章 晴嵐編入(前編)-9

「えぇっ!?」
 ボクを含めて、その場にいた全員が、先生の言葉に仰天した。
「君まで驚いてどうする!
 自分の事だぞ、鳴海くん?」
「えっ、でも。
 二秒も早くなってるし……。
 これって何かの間違いじゃ?」
「俺はちゃんと測ったぜ鳴海!?」
 ボクの言葉にちょっとムッとしたみたいに久石さんが食ってかかってきた。
「あ、そう言う意味じゃなくって、ウォッチが狂ってる。
 とか?」
「いや、間違いなく君が出した記録だ。
 速くなったのは、水着が変わったからだろう」
「えっ、これの!?」
 ボクは着ていた水着の胸元をつまんで引っ張ってみた。
「きゃぁ〜っ、鳴海ちゃん!?
「胸っ、胸ぇっ!」
 騒ぎ出すクラスメイト達に、慌てたみたいに咳払いする先生。
 
「あ、そっか」
 ボクは水着から手を離すと、胸元をパチュんと水着が叩く音が、ボクの耳に届いた。
 
「駄目だよぉっ!
 藤堂の前で、あんな格好しちゃ?」
 それは、水泳の授業が終って、更衣室に入った途端の事だった。
「藤堂って結構、エッチなんだから!」
 その子はズイっとボクに迫るように忠告してくる。
 でも……。
『そこまで言うっ!?』
「ご、ごめん。次からは気を付けるよ」
 表向きそう言った物の、本当に藤堂先生が可哀想になってきた。
 まぁ、本当に襲われたらヤだし、マジで気を付けよう。
「注意してくれて嬉しいよ。ありがとう」
 クラスメイトがボクの事を気遣う優しさに触れて、本当に嬉しくて笑って見せた。
『結構付いていけないトコもあるけど、最高のクラスかも知れない』
 一瞬でもそう思ってしまった自分自身を、ボクは後になって思いっきり呪う事になる。
 
「もぉ!
 ホントに素直で可愛いんだからぁ」
「はいっ!?」
 皆からの訳の分からない反応に、ボクは呆然とするしかない。
「鳴海ちゃんはぁ、隙が多すぎるんだよ〜ぉ」
 いつの間にか、山岸さんがボクの横で、お菓子をパリパリ食べながら立ってた。
「さっきも簡単にぃ、アタシにおっぱい触らせてくれたしね〜ぇ?」
「うそ〜っ!?
 山ちゃんそれ、ホント〜?」
「鳴海ちゃんのおっぱい触って、どんなだった〜?」
「鳴海ちゃん、おっぱい触られて、どうだった〜?」
「いや、あの、痛かったけど、ちょっとだけ、変な感じ、した」
 思わず言ってから、ボクは慌てて手で口を押さえた。
「ほらぁ!
 これは鳴海ちゃんの事ぉ、放っとけないよね〜ぇ、ミンナ〜ぁ?」
「同感、ど〜かん!」
 山岸さんの扇動に皆も乗って行く。
 
「事、ここに至りぃ、アタシこと山岸愛がここにぃ、宣言したいと思います〜ぅ」
 そう言い置いてから山岸さんは、一旦口を閉じた。
 
『また、何を言い出す気なんだろう?』
 
 迂濶にもボクは、ちょっとした好奇心から、山岸さんの次の言葉を待ってみた。
 でもここで無理にでも止めておけば良かったと、後になってから心底悔やんだ。
 
「只今を以ってぇ、『鳴海ちゃんの純潔を守ろう会』の結成をぉ、宣言します〜ぅ!」
「意義な〜し!」
「賛成、さんせ〜!」
「因みにアタシこと山岸愛がぁ、最初に鳴海ちゃんの胸を触った。って事でぇ、会長に就任したいとぉ、思います〜ぅ」
 ボクは突然の出来事に、全く動けなかった。
「それからぁ、副会長に三里ちゃん、そして執行部の親衛隊長にはぁ、圭ちゃんをぉ、会長権限でぇ、任命したいと思います〜ぅ。
 誰か反対の人いたらぁ、一歩前へ〜ぇ!」
 
 動く人は、誰もいない。
 ボクも突然の出来事に、全く動けなかった。
『何だって良いから、誰か動いてっ!』
 死ぬほど思ったけど、誰一人として動いてくれた人はいなかった。
 
 ボクが殆んど諦めかけた時だった。
「ちょっと待てよ」
 軽く手を上げながら、久石さんが一歩前に出てくれたのは。


『地獄で大日如来』『魔界で大天使ミカエル』『暗黒に天照大御神命』『世紀末に救世主』
 ボクは久石さんに向かって、涙を流して思いっきり拝みたい気分だった。
 
「適性考えりゃ、俺と愛の役目は交代した方が良いぜ」
 助け船、大破・炎上・爆沈……。
 失意のあまり、ボクの意識はそこでプッツリ途絶えた。


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