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小悪魔たちに花束を
【学園物 官能小説】

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小悪魔たちに花束を【新天地編】第一章 晴嵐編入(前編)-10

  5
 
 ボクは何故か二組の教室に帰ってきてた。
「ぁえ?
 ここは……」
 てな、もんである。
 水着を着てたはずなのに、ちゃん制服も着てる。
 水着を探してみたら、タオルと一緒に買ったばかりのバッグが机の横にかかってた。
 そのバッグの中に、ボク自身が入れるよりも、ずっと綺麗にたたまれて入ってる。
 そしてご丁寧にも、机の上には真新しい教科書と、ちょっとよれたノートに新しく買い替えた筆箱がちょっとの乱れもなく、綺麗に並べられてた。
 周りに目をやってみると、教室の皆が指揮な場所に移って、お弁当を広げて食べてる。
 
 ……………。
 
『いったい、何が起きたの?』
「あ〜っ!
 鳴海ちゃんが正気に戻ったよ〜ぉ」
 ボクはギリギリと顔を横に向ける。
 そこには机に出したまま、お弁当に手を付けてない山岸さんが頬杖つきながら、こっちに向かって笑いかけてきてた。
「おはよぉ鳴海ちゃ〜ん。
 一緒に屋上行ってぇ、おベント食べよ〜ぉ?」
「……………は?」
 ボクの口から麻抜けな声が出た。
 訳が分からない頭を抱えながらも、結局ボクはお弁当を持って、山岸さんたち三人と屋上に向かった。
 
「あ、ケイコたち!」
「おぅ、真梨亜じゃねぇか!」
 屋上に出た時、妙なイントネーションの声がボクたちの方にかかってきた。
「キミ達もここで食べに来たか?」
 黄金色に輝く髪をなびかせて、一際異彩を放つ女の人が駆け寄ってくる。
 みんな知り合いなのか山岸さんたちも、その女の人に手を振って応えてる。
 
 その女の人の肌は雪国の人みたいに白くて、三人の中で一番高い久石さんよりも更に高そうだった。
 胸なんかハチキレるんじゃないか、って心配しそうになるくらい大きくて、顔だちなんかも、まるで美術の教科書なんかに載ってるギリシャ彫刻みたいに彫りが深くて、綺麗な人だった。
 良く見たら髪の毛だけじゃなくって、眉毛まで透き通るみたいな黄金色に輝いてる。
 そこで黄金色に輝く髪は染めたものじゃなくて、自然なものだって事にボクは気が付いた。
 皆も充分以上に綺麗だけど、見た目のインパクトの強さには、この人には叶わない。
 
 こんな人たちと一緒にいるボクが、なんだかみすぼらしく思えてきた。
『ボクは一緒にいちゃ、いけないみたい』
 そう思いながら、でもボクはその人に見とれてしまってた。
 
「ん?
 この娘(こ)ダレ?」
「今日俺らのクラスに編入してきた奴で、鳴海ってんだ」
「あの、初めまして。鳴海晶…です」
 久石さんに背中を押されて、ボクは真梨亜さんって言う人に、頭をさげる。
「お〜ぅ!?
 キミがあの新入りちゃん!
 私は工藤真梨亜。よろしく、アキラ!」
 激烈に気になるセリフを耳にしながら、ボクは工藤さんが差し出してきた左手を握る。
「よろしく、です。工藤さん」
「ん〜、アキラ。工藤さんなんて他人行儀。
 真梨亜(ムァルィィア)。オケィ?」
 最後の語尾だけ、妙に発音の良い旋律を残して工藤さん。
 じゃなかった、真梨亜さんは言ってきた。
 それにしても、他人行儀なんて難しい日本語なんて知ってるかと思ったら、どこか文法変だし。
 何だかチグハグな感じ。
 
『真梨亜の奴はハーフの帰国子女なんだよ』
 ボクの思ったことが伝わったみたい。
 耳打ちしてきた久石さんの言葉に、ボクは納得した。
「よろしく、真梨亜さん」
 
「ちょっとケイコ!?陰で話すの感心しない!
 こっちにも聞こえるように話すといい!」
 真梨亜さんはオーバーな身振りで久石さんを責め始める。
「真梨亜が帰国子女でハーフなのを、教えてやっただけだよ」
「そんな事、堂々と言えばいい!
 なぜヒソヒソ話か!?」
「こう言ったもんは本人には聞かせないのが、日本の礼儀なんだよ」
「オゥ!
 それを私に実践して教えてくれた訳ね?
 アリガト、ケイコ」
 
「違う……、なんか違う」
 ボクはずれまくった会話に付いて行けなくて、頭がクラクラしてきた。
 
「あ、鳴海ちゃ〜ん、大丈夫〜ぅ?」
「え!?あ!
 大丈夫だから。うん!」
 身体を支えてくれた山岸さんから、ボクは慌てて離れた。
 
 その後ボクらは屋上の、コンクリートの上にピクニックシートを敷いて、その上でお弁当をひろげた。
 ピクニックシートはいつも三里さんが持って来てるらしい。


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