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小悪魔たちに花束を
【学園物 官能小説】

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小悪魔たちに花束を【新天地編】第一章 晴嵐編入(前編)-11

「真梨亜ちゃんはねぇ?
 去年は私たちと同じぃ、二組にいたんだよ〜ぉ?」
 昼食を採ってる時、山岸さんが話し始めた。
「あ、そうなんだ」
「その通り。
 でも国語と社会が駄目で、今年は三組」
 真梨亜さんは箸をとめて(箸の使い方がまたボクより上手なんだ)、溜め息をつき始めた。
「三組の人たち、皆勉強ばかり。
 テストだけで全部価値を決める可哀想な人たち」
「うげっ!?
 それホント、真梨亜さん!?」
 飲んでたお茶が吹き出そうになった。
 ボクの問いかけに、真梨亜さんじゃなくて久石さんが答えてくる。
「晴女は進学校ってぇ、性格が強ぇかんな。
 どうしても自分(テメェ)の成績と順位の事しか頭に無ぇ、クズみてぇな連中ばかりになっちまってんだ」
「そぉそぉ。
 二組(アタシ達のクラス)とぉ、七組くらいかな〜ぁ、二年でまともなの〜ぉ?」
「そう。
 真梨亜は三組落ちて初めて実感した。
 来年は絶対、三組に上がるよっ!!」
「じゃボクが二組に入ったのは、運が良い方だったんだ」
「そうだな。
 不思議と二組に人間クセェ連中が揃ってるって言うのは、それだけで奇跡。てぇもんだよな」
 久石さんの言葉に山岸さんと真梨亜さんは改めて理解した。って言う感じで、しきりに頷いてた。
 
 そんな時、三里さんがボクに向かって三里さん自身のお弁当箱を差し出してきた。
「え、なに?三里さん?」
「三里ちゃんは自分で作ったおベントをぉ、鳴海ちゃんに食べてもらいたいんだよ〜ぉ」
 急な事で驚いたボクに、山岸さんが教えてくれた。
「このお弁当、三里さんの手作りなんだ!」
 ボクがそのお弁当を覗きながら感心すると、三里さんは少しハニカみながら頷いてくる。
「どれを食べてもいいの?」
 ボクの質問に、三里さんは長くて細い指を伸ばして、肉じゃがを指差した。
 って………。
 
「お弁当に肉じゃが入れてくる!普通?」
「三里は凝り性だかんな」
 目を丸くして叫んだら、久石さんが苦笑した。
「あ。でも、手間をかけて作ったもの、ホントにボクが食べちゃってもいいの?」
 何だか申し訳なくて、恐るおそる三里さんの方に目を向けてみる。
 三里さんはにっこり微笑んでくるだけで、何も言おうとして来ない。
「それはユマがアキラの事、好きになった証拠。
 どうでもいい人間にユマはランチ自体あげない。だからアキラは気にしない」
「じゃあ、遠慮なく」
 真梨亜さんの言葉に促されて、ボクはその肉じゃがを口の中に放り込む。
 
 ……………!?
 
「なにこれ!?凄く美味しい!」
 ボクは頬っぺたが落ちそうな美味しさに、つい笑ってしまった。
 本当に美味しいものを食べると幸せになれるって、本当だったんだ。
「もしボクが三里さんの彼氏だったら……」
 
 ズキっ!
 
「彼氏だったら、……毎日作って欲しいぐらいだよ……」
 片野さんの手料理、食べてみたかったな。
 
「アキラ、どーした?」
「え、なに?」
 気が付いたら、真梨亜さんがボクの顔を心配そうに覗き込んで来てた。
「何か悲しい事、あったか?」
「うぅん、何でもないよ。
 ホントに美味しかったから、ちょっと感動してただけ」
 ボクは片手を振って否定して見せる。
 
── ホントの事なんて、言えるわけないから──
 
「ホントに美味しかったよ。ありがとう三里さん」
 ボクはうっすらと頬を桜色に染めて俯く三里さんに、笑顔を向けた。
 
「所でね。二時間目からの授業、受けた記憶がないんだけど?」
 ボクが久石さん達に向かってずっと気になってた事を口にしたのは、お弁当を食べ終った後だった。
 その瞬間、真梨亜さん以外の三人の動きがピタッと止まって、意味ありげに顔を見合わせ始めてた。
「アキラ。記憶ないって、どー言う事?」
 真梨亜さんがいぶかし気に尋ねてくる。
 ボクは真梨亜さんの問いかけに、一時間目までしか記憶がない事を話した。
 
「アイ!
 アキラに一体何した!」
 真梨亜さんは、キツイ表情で問い詰める。「なっ!?
 何でアタシなのよ〜ぉ?」
 山岸さんは唇を尖らせて、抗議してる。
「アイは知らないで人を傷付ける、悪い癖あるからよ」
 
 スルドい……。
 
 その後、久石さんと山岸さんは、ボクの意識が飛んでた時の事を話しだした。
 つまりこう言う事らしい。


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