エリザベス・悲劇の人形たちX-1
翌日の夕方…
人形部屋は子供人形たちの元気な声でが賑やかである。
「オ風呂、オ風呂、気持チイイーッ!」
「キャキャッ! ミャミャーッ! ヒャハハ!」
子供人形用携帯風呂桶にタップリと注がれたお湯に浸かり、子供人形たちは満面の笑顔だ。
彼女たちにとっては、毎日の入浴は楽しみの1つなのだ。
中にはハシャぎ回る子もいて、賑やか賑やか。
イタズラっ子のルルが他の子たちにお湯をかけながら、一番ハシャいでいる。
ハシャぎ過ぎたのか、ルルは風呂桶が置かれている台の上から床に落ちてしまった。
するとルルは…
「ウィアーンアーンアーンッ!! ウィアンッ!!」
キディみたいに、足をバタバタさせながら泣き出した。
「あらら、ルルったら」
様子を見に来たマルセルが歩み寄って来て、ルルを抱き上げた。
「ウィアーンアンッ!」
泣き続けるルル。
マルセルは優しくなだめ始める。
「ルルぅ、ハシャぎ過ぎたのネェ?」
「イチャイ(痛い)、イチャイ、イチャイ」
「ハイハイ、泣かない泣かない」
だが、ルルは泣き止まない。
高い所からの落下で背中を強打して、よほど痛くてたまらないのかも。
とにかく、イタズラ好きなルルだけど、キディみたいに泣き虫だから簡単には泣き止まない。
マルセルはルルをしっかりと抱いたまま、人形部屋を出た。
「ウィアーン」
「サァ、エリザベスママの所へ行きましょうね」
向かった先は、そのエリザベスママがいるキッチン。
キッチンに来たマルセルはルルをエリザベスに見せた。
マルセルもエリザベスも、どこか冷たい雰囲気が漂う。
「ミャミャー」
ママを目にしたルルは両手を広げた。
グスグスと泣くルルをエリザベスは受け取り、その場で頬ずりをする。
そして、キッチン奥の食品保管庫の中に入って行って扉を閉めた。
腕を組み、ニヤリと笑みを浮かべながらマルセルは扉を見つめる。
マルセルと言っても、本当はグロリアスが変身した姿なのだが。
しばらくすると…