エリザベス・悲劇の人形たちW-2
「私だって、アンタを絶対に許せないんだから」
グロリアスからクールな視線で見下され、エリザベスは顔をしかめる。
この私を?
許せない?
下々の人間の分際で、何をフザケた事を!
聞き捨てならない!
「私ハ、国中ノ人形デ、モットモ、気品二満チタ、聖ナル高級人形」
「又、言ってる」
「チャント、聞キナサイ! 人形社会デ、模範的存在トナッテイル私ガ、何ヲシタ? 私二、何ノ恨ミガアル?
オ前ノ、狂ッタ思考ト、勘違イニハ、私ハ理解二苦シム」
「何とでも言いなさい」
「何故、私ノ可愛イ宝物ヲ、コノヨウニシタ?」
「ビービービービー泣いてうるさいからよ」
「ダカラト言ッテ!」
「それになーに?
朝から晩まで、オッパイばっかりしゃぶって。 バッカじゃないの?
なーんで、そのコだけ赤ちゃんみたいな性格なのかしら?」
「コノ子ハ、オッパイヲ吸ウ事ガ生キ甲斐」
「オッパイを吸う事が生き甲斐? それしか能がナイって事ネェ?
ホント、どうしょうもない赤ん坊だわ」
「知ラナイノ?」
「何を?」
「キディハ、世界一ノ人形ノ天使。優秀デ、ミンナニ、幸セヲ与エル」
「んな事、誰も知るワケないじゃない」
グロリアスは呆れて、両手を上げるゼスチャーをした。
自分たちを美化したり誇示したりするのか?
しかも、馬鹿の1つ覚えみたいに同じ台詞を繰り返したり、やたら誇張してばかりいる。
「美シイ心ヲ持ツ、キディヲ殺ストハッ!
コレハ、純粋ナ人形二対スル犯罪行為」
「怠け者のグータラ人形のクセに、偉そうによく言うわネ?」
「何ィ?」
悪口を言われたからだろう、エリザベスはグロリアスを睨み付ける。