振り向けお前っ! 13話〜コタエ〜-6
もし、どっちかと付き合うとして、片方はどうなる?
自分はどっちかなんて選べない・・・。
だからと言ってこのままうやむやにもできない。
早くはっきりさせなくては。
そう思う気持が大きくなっていく。
そう考えているうちに一つの答えに辿りつく。
もしかしたら自分は2人と付き合わない方がいいんじゃないかと。
このままの関係のままの方がいいんじゃないかと。
そんなことばかり悠太の脳裏をかすめていく。
「悠太?おーい、ゆーたくーん。」
ずっと考えていたからだろうか。
ずっと、幸宏に呼ばれているのに気がつかなかった。
「え?あ、何?」
「何じゃないよ、いきなり無反応になったから、心配したよ。」
「あ、ああ。ごめんちょっと考え事。」
「そう?ならいいんだけど。」
「それはそうと、そろそろ出発するけど、問題ない?」
その質問に全員が平気と答える。
「じゃあ、出発!」
そうして、昼食のために停まったパーキングエリアをでる。
その車内では、昼食前と後で席が変わっていた。
一番前が阿佐美だったのが一番後ろの愛華の隣になっていた。
その代わりように悠太は驚いた。
そして一番前が悠太になっていた。
悠太が何気なく後ろを振り向くと2人が話していた
「ねえ、愛華ちゃん、家についたらちょっと話したいことがあるんだけど大丈夫?」
「はい、平気ですけど。」
「じゃあ、家についたらちょっとだけ私の家に上がっていって。」
「はい。」
と一言返事してから他愛のない話をし始める。
その姿を見て安心した悠太だった。
「何か安心した感じだね悠太。」
「そんな感じがする?」
「何かあったの?」
「別に何でもないよ、高校生の青春だよ。」
「あはは、そうか、じゃあ兄さんは足を踏み入れられないな。」
悠太が真面目に話すのを幸宏が茶化す。
「もうすぐ終わるけどね。」
小声でぼそっと言う。