振り向けお前っ! 13話〜コタエ〜-4
「朝山さん、荷物まとめないと、後で大変ですよ!」
心配した輝がそうは言うものの。
「あと5分」
などと、朝弱い人が、よく言うセリフを吐きながら、まだ寝ている。
阿佐美はと言うと。
荷物の準備も終わっていたのだが、部屋を出る気にならない。
「昨日あんな質問するんじゃなかった・・・。」
悠太に気にするなと言われなるべく意識しないようにしていたのだが、やはり気になってしまい愛華と顔を合わせずらい。
当の愛華も、阿佐美と同じ気持ちではあった。
今はすぅすぅと寝息を立てている愛華も、最初阿佐美と鉢合わせなくてほっとしていた。
それからどのくらいたっただろうか。
愛華がふと眼を覚ますと。
「あ、起きた。」
と一言聞きなれた人の声がする。
目を向けると悠太がいた。
「―――ッ、神木君!?」
「そうだけど、どうした?」
「わ、私どのくらい寝てたんですか?」
そう聞いた瞬間地面が揺れたような気がした。
はっとっ見回すと、そこは幸宏が運転している車の中だった。
「あれ、ここ車の中?」
「そうだよ、あんまり気持ちよさそうに寝てたから、起こすの可哀想だから、抱きかかえて乗せちゃった。」
と悪びれもなく悠太が言う。
そう、愛華が倒れて、横になってる時、悠太達が朝食の準備を終わらせたと同時に皆が部屋から出てきた。
そして、愛華が起きるのを待っていたが、起きそうになかったので、しかも、出発の時間が迫ってきてたので、抱きかかえて車に乗せたのだ。
「私そんな寝てたんですか、ごめんなさい。皆さんにご迷惑をおかけしたみたいで。」
「まぁ、誰も怒ってなんてないし、大丈夫だよ。」
「そうそう、愛華ちゃん頑張り過ぎちゃって疲れちゃったのよ。逆に御苦労さまって言いたいくらいだわ。」
と言うのは阿佐美、これでも精一杯気にしないようにしている。
そして、阿佐美の一言に全員が同意する。