さよならのラララ-7
「死ぬなんてさ、生きるのと同じようなことだよね。というか、みんな、絶対死ぬんだよね。その日がいつかなんて知らないんだよね。もしかしたら、私より先にけーたくんが死んじゃうなんてこともないではないんだよね」
「……それは」
「死ぬのは怖くないよ。いつも隣にあるものだから。だけど、」
淡々と話していたもえこはそこで一旦言葉をきって、情けなく眉を下げた。
「きみと離れるのが、怖いよ」
一人きりで生きられたらいいのに。そうしたら、きっと、怖いものなんかなにもなくなる。俺はずっとそうだったし、もえこも多分そうだった。なのに出会ってしまって、好きになってしまって、抱きしめあってしまって。
もう、一人には戻れない。
「どうしてかな……終わるってわかってて、それでも何か始めてしまうのは、なんで……んっ」
聞きたくない。何も聞きたくない。それを行動で表すために、またもえこの口を塞いだ。
「ん、んぅ……ふぁっ、ぁああっ」
休んでいた指を、もえこのぬめりきった穴に入れていく。話しているうちに少し冷めてしまったかと思ったが、触れたそこは相変わらず生暖かく湿っていた。ゆっくり奥に潜り込ませて、ゆるゆると探る。中はとても狭く、指を二本入れただけでぴっちりと締められているような感覚さえあった。けれど、ここに、入れるんだ。
もえこは快感に揺れながら、それでもまっすぐな目で俺を見ている。その目が意図するところを、わからないわけではない。
「もえこ、もえこ……いれる、ぞ?」
「う……ん……っ」
先端をそのぬるぬるした穴にあてて、ゆっくりと俺は腰を落としていく。ぐぐ、って音がする気がする。狭くて熱いその中に、ずるずると入り込んでいく俺のそれ。ぎゅうう、って締め付けてくるのが、気持ちいいというよりは苦しい。
「ぅあっ……あああっ」
痛いんだろうと思う。苦しそうに歪む瞳が辛い。滲む涙が、辛い。
なんで苦しまないといけないんだろう。シソンハンエイの為にしなきゃいけない行為に傷みが伴うなんて、俺たちを創ったやつはなんて鬼畜なのかと思う。それも女ばかり辛いなんて、不公平だろ。
一旦抜いた方がいいかと思って、俺は少し腰を上げようと腕に力をこめた。それに気付いたもえこが不意に俺の腕を掴んで首を振る。その動きに溜まっていた涙が頬を伝ってこぼれた。もえこは痛みに瞳をぎゅうと閉じたままで、けれどその動作は抜くことに対する拒絶のものだとわかる。