投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

さよならのラララ
【その他 官能小説】

さよならのラララの最初へ さよならのラララ 5 さよならのラララ 7 さよならのラララの最後へ

さよならのラララ-6

 ややあって地上に戻ったもえこは、荒く肩で息をしながら呼吸を落ち着けている。その様子をもえこに覆い被さるようにした俺は、にやにや笑いながらしばらく見おろしていた。呼吸を整えたもえこがキッ、と俺を睨む。そうして疲れ切った声でぼそりと、


「くそったれ……」


 ざまあみろ、だ。 





 余命を宣告するかどうか、もえこの両親は酷く悩んだらしい。けれど、嘘が嫌いな娘の為に、そして残されているであろう時間を大切に過ごすために、もえこに告げることを選んだ。


「けーたくん、私がいなくなったら、どうする?」


 不意にもえこがそんなことを言った。相変わらずいやらしいポーズのままで、上気した頬のままで、けれどその瞳に映る色が現実を俺に思い起こさせる。俺はもえこを上から見下ろしたままで、ぴくりとも動けなくなってしまった。


「……どうするって、なに」

「泣く?落ち込む?ひきこもる?私のこと思い出して、悲しくなったりする?」


 なんでいま、そんなこと、


「それですっごい鬱モードはいって、でもみんなにシッタゲキレイされたりなんかして、それでまた前向きになって、元気になって、ご飯食べてトイレ行って寝て、起きたりなんかするのかな」

「そんなこと……」

「死んでみないとわかんないかぁ」


 もえこの口から「死ぬ」って言葉がでたことに、俺の心はぐらぐら揺れだした。こいつが、今、目の前で確かに熱を持って笑うこいつが、死ぬ。それももう遠い先の話しではないのだという。


「……忘れて良いよ」


 ぽつりと、ほとんど唇も動かさずにそんなことをいう。


「なにいってんの」

「だから忘れて良いよ、私のこと」

「もえこ」


 名前を呼んで続けようとした俺の言葉を遮るようにして、大丈夫、ともえこが笑う。


「私は忘れないから、大丈夫」


 そのためにだよ、と言った。
 そのためにきみとえっちしたいんだ、と恥ずかしそうに笑った。


さよならのラララの最初へ さよならのラララ 5 さよならのラララ 7 さよならのラララの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前