想-white&black-B-6
「あっ、ああっ……。あ……、や、だあ……」
そう言い聞かせようとしても、とても冷静でいられる訳がなかった。
自分の口から信じられない程甘い声がもれていく。
熱が上がった時みたいにぼーっとする感覚に緩く頭を左右に振る。
「ああ、感じてきたな……」
「そ、んな訳ないっ。感じてなんか……、んんうっ!!」
目の前には楓さんの顔があり、唇にはしっとりとした感触と熱を感じる。
彼の付けている香水の甘く淫らな香りが鼻をつく。
あんなに指は冷たかったのに触れ合っている唇は熱い。
焼けるようなキスだった。
だがそんなキスの途中、私の身体がギクリと固まる。
楓さんの長い指がショーツの縁にかかり、そのまま取り去られてしまったのだ。
何とか唇を離すと、縛られた手で楓さんの身体を押し返すものの私の抵抗など全く利いていないのか、冷笑を浮かべただけだった。
「そんなに暴れるな。仕方ない、せめてベッドに連れて行ってやろう」
そう言うと楓さんはバスローブの襟を掴んで私を引き起こして、ベッドへと突き飛ばした。
そして一旦手首の戒めを外したかと思うと、今度は後ろ手で両手を縛られてしまった。
「だ、誰かっ、助け……っ」
ようやく誰かに助けを求めようと叫ぼうとしたが、それは楓の手によって途中で遮られた。
「一つ言い忘れていたが、ここでお前がどんなに叫ぼうが喚こうが誰も助けには来ない。俺がここにいると皆知っているからだ。俺に逆らう奴なんか誰もいないってことを覚えておくといい」
まるで人間扱いされていない今の状況に愕然とした。
確かに突然やってきた人間より、自分の仕えている人間を優先させるのは当然のことだ。
だがここで何が起こっているのか、例え外に気付かれていても誰も助けになど来てくれないなんて酷すぎる。
「最低……っ」
また芽生え始めた怒りに口から声がこぼれ出していた。
「誉め言葉として受け取っておこう」
余裕の笑みを浮かべたまま私の身体を仰向けにひっくり返すと、自分の身体の重みで腕が軋んだ。
その痛みで僅かに顔を歪めるとこめかみに唇が落ちてきた。
それは思いもかけず優しくて私はつい痛みを忘れて目を瞠はった。
だがすぐに楓さんの指は下腹の薄い草叢を掻き分け、秘められた場所へと進められていく。
思わず脚を閉じようとしたが片方の太ももを膝で押さえつけられ、もう片方は手で押さえつけられた。