バッドブースターU〜姉とメイドと心の浮気〜-1
夜には、様々な顔がある。
当然のことだが、夜という名の人間が百面相だ、と言っているわけではない。人それぞれが個々の空間を形成しやすい時間帯であり、実に多種多様な行動様式が存在するということだ。
そう、例えば――
この七月初頭、熱帯夜であるというのに、さらなる熱さを求めて体を重ね合わせる少年少女にとっては、ベッドの上とその周り――たかだか二、三メートル四方――だけが、夜の空間と言えるだろう。
「は……んっ……ちゅ……」
触れ合う唇、絡まる舌。その間から少女――渡辺藍の蕩けるような声が漏れる。
「んはぁ……あっ……佑助君……もっと……」
少年――佐々木佑助に対し、さらなる情愛を懇願する。
カーテンの間から差し込んでくる、一筋の月の光に照らされて、一糸纏わぬ少女の細い身体は、童話に登場する妖精のように典雅で美しい。
「藍……」
愛する人の要望に応え、佑助は両手を藍の身体へ伸ばし、そのままベッドへと押し倒す。
「あっ……」
佑助の手が、藍の二つの乳房にのせられる。そのまま丹念に揉みしだく。
「あん……んっ……はっ……あ!」
反応がよくなってきたところで、愛撫の矛先を乳房の頂点にあるピンク色の突起に集中させる。
彼女のこの場所が非常に敏感であることを、これまでの経験でよく理解している。
「はぁん……あ、くっ! ゆ、佑助君……そこは、ああんっ、乳首は……感じすぎちゃ……ああん!」
佑助が右側の突き出た乳首を口に含むと、藍は一段階高い矯声を上げる。
さらに、乳輪全体をキュッと吸ったり、突起の先端を舌で押し込むような愛撫を受けることで、その声は連続的なものとなる。
「ひゃああん! あはぁん! そこばっかりしちゃダメェェ!」
段階的に藍の声が大きくなっていく。おそらくは、感度の度合いもそれに比例して増してきているのだろう。
――と、不意に、
びくん、と
藍の身体が軽く跳ねた。
佑助は、思わず手を止めて、藍の様子を窺う。
藍は、両の手に握りこぶしをつくり、身体をぶるぶると震わせている。目はギュッと閉じられ、何かを耐えているようにも見える。
(あ、もしかして……)
佑助は一つの結論に思い至った。
「藍、胸だけでイッちゃったの?」
佑助の確認に、藍は、
「ハァ……ハァ……」
呼吸を整えてからうっすらと目を開け、佑助を見上げる。
「うん……だって、最近あんまりできなくて、久しぶりだったし……」
二人の営みは、これまではどんなに間が空いたとしても、五日が最長であったのだが、今回とある事情のもと、最長記録を二日更新し、七日ぶりとなっていた。
体を重ねることを覚えたばかりで、快楽に流されやすい若い身としては、七日というのはかなりのブランクとなっていた。
一週間、蓄積された欲求が、藍を性に対して敏感にしているのかもしれない。
「ね、ねぇ……」
「ん?」
それ以上は言わず、何かを懇願するかのように藍は佑助を見つめる。
それの意図するところにすぐに思い当たった佑助は、即座に行動を移す。
仰向け状態の藍に覆い被さるような体勢であった自分の体を起こした。両手で彼女の太股に触れ、ゆっくりと左右に開き、露出した少女の秘部に顔を近付けて――
―――ぴちゃ
「あうぅっ!」
藍は繊細な秘部にざらりとした舌な感触を受け、頤を反らした。
佑助は、泉を湛えているその場所を、わざと水音を立てながら舌で舐める。
「あ! ひゃあ! んあ!」
刺激を一度受ける度に、藍の口から恥ずかしい悲鳴が一つ漏れる。それが、佑助には美しい楽器のように思えた。
その可愛らしい声をさらに聞きたくて、今度は舌をすぼめて、溢れ出る液体の水源へとねじこんでいく。
「ひぃうぅぅ!」
一段と藍が強く反応するのを見て、佑助はさらに内部の肉壁をかきまわそうとするが、
突如、藍によって頭を押さえられた。
一旦動きを止め、頭部を藍の股の間からどけた佑助は、
「どうしたの?」
「も……もう我慢できないの……佑助君の、欲しいの……ここに佑助君の、私のここに……欲しい……」
度重なる刺激による興奮と自分からねだるという羞恥によって、顔をトマトのように赤くした藍は、自ら股を開き、両手で自分の性器を広げる。愛する男の侵入を心待ちにしてぴくぴくと蠢く肉壁が露になった。
「うん、わかった」
律儀に返事をする佑助。
本来なら、こんな状況に男が出会した場合、欲望の炎の燃えさかるままに、相手に襲いかかってしまうのかもしれないが、佑助は、そういうことを絶対にしない少年だった。
と、いうより、できないのだ。
とにかく彼は、勢いで何かをするのが苦手であり、嫌いでもあった。
思慮深くというほどでもないが、優しく、臆病で、愚かで、それでいて貴くて――
藍が好きな佑助の一面だった。
そんな少年は、欲望の滾りを抑制しながら、ゆっくりと慎重に肉棒を侵入させていく。
「くっ、うぅぅぅ……」
膣内を広げられる拡張感と、異物の侵入による圧迫感でおもわずうめく藍。
まだ数えるほどしか肌を合わせていないためか、まだまだ慣れが必要なのかも、と佑助は思った。