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バッドブースター
【学園物 官能小説】

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バッドブースターU〜姉とメイドと心の浮気〜-10

 少年と少女だけの空間が戻ってきた。
 佑助はとりあえず疲れを癒すため一時間だけ昼寝をし、藍はその間に母に今日泊まる事を伝え、夕食を用意した。
 二人での食事、二人での入浴。そして――
 藍曰く、
「先に綾子さんの方へ行った罰。いっぱい愛してくれないと、赦さない」

――二人での、夜の空間。
「んっ! はっ! ああん!」
 藍が佑助の上で身を快楽に染め、激しく躍動する。ちなみに現在、三回目である。
 佑助が疲労で上手く体を動かせない状態のため、藍が動く騎乗位が中心となっている。
「ん……あ!」
 藍が佑助の体に倒れこんでくる。
 汗に濡れた体を佑助に密着させる。硬くなった乳首が、胸板で擦れた。
「はむっ……んっ……んむっ……ふっ……」
 夢中に舌を絡めあう。唾液が、二つの口の間からこぼれおちる。
「あっ、はっ! 佑助君、私の、こと、あんっ! す、好き?」
「好きだよっ!」
「もっと、もっと言って!」
 藍は佑助の首筋にキスをした。そのまま、強く肌を吸い始める。佑助の背筋にびりびりと感じる何かが走った。
「くっ……藍、何してんの?」
 藍は自分が強くキスしたところを見つめる。鬱血して、赤い印ができていた。
「佑助君が私のモノだっていう標をつけたの」
 そう言って、また腰を振り始める。佑助もそれに合わせて、下から勢いをつけて突き上げる。
「んあああああ!」
 涙を、汗を振り撒き、藍は体を反らす。ボブカットの髪が、ゆるやかに空を切る。
 本能のみで行う運動が、藍を支配してやまない。
「ひぃ、ひぃ……おかしくなる、おかしくなるよぉ!」
 焦点の合わない目は虚空をさまよう。
 佑助は藍を最後の高みへ導くべく、深く、強く、突き入れた。
――ずっ!!――
「ああああああ!」
 白の無窮が、藍を埋め尽して、先刻より随分量の少ない白濁液が天へと弾け飛ぶ。
 ドサッと、佑助の胸に体をあずけた。
「はぁ……はぁ……はぁっ……」
 未だ烈しい胸の鼓動を二人は共有する。
「すごく、よかった……」
 素直に甘えてくる藍は、とても愛しい。
「だから、もう一回……ね」
 結局、『もう一回』で済んだりはしなかったのだが。

    ※

 翌日の学校。一限目が始まる前、佑助は机に突っ伏していた。ほとんど寝てないのだ。
 最終的に行為を終えたのは、朝方だった。仮眠程度の休みをとった後、すぐに登校である。
 藍は、ヤりすぎたせいか、腰が立たなかったので、仕方なく置いてきた。二人一緒に休むと、いろいろと問題なのだ。
 不意に、ペリペリと何かを剥がすような感触に襲われた。
「――って!」
 思わず飛び起きる。首に貼った絆創膏は、キスマークを隠す為のものだ。バレたらまたからかいの対象になるのは明白だ。
 上杉鷹文(ウエスギタカフミ)絆創膏を半分ばかりめくって、
「……」
 少し沈黙して、元に戻した。
「見た?」
「見た……っていうか、そんな所の絆創膏は怪しすぎると思うが」
 確かにそうだが、これしか方法が思いつかなかった。
 だがバレたのが上杉だったのは僥倖だった。彼はそういっことで、他人をからかうようなことはしないからだ。
 ホッとしたのも束の間、佑助と上杉の会話を聴いて、余計な存在が近付いてきた。
 このクラスで一番のオープンエロス、清原圭一郎(キヨハラケイイチロウ)だった。
「何なになに? なんかヤらしい話題?」
「朝からハイテンションだね清原……こっちは疲労と寝不足でローテンションだよ……」
「ね、寝不足だと!?まさか貴様、朝まで渡辺と――」
 清原の発言はあてずっぽうであったが、図星だった。ギクリとして押し黙る。
 その姿にニヤリとして、清原はさらに追い討ちをかけようとするが、
 一限の先生が教室に入ってきたので、会話はお開きとなる。「後でぜってー訊き出してやる!」といいのこし、自分の席に戻っていった。
 起立と礼、そして着席。
(ああ……だるい。もう寝ちゃおうかな……)
 上と下の瞼が既に仲良くなっている佑助に対し、現国担当の女教師が、
「こら、佐々木君、今からとても重要なことを言いますからちゃんと聞きなさい」
 と、名指しで注意する。
 佑助が姿勢を正すのを見届けてから、教師は神妙な口調で語りだす。
「これは昨日起こったことなんだけど……」
 体験談のどこが大事な話なんだ……。佑助はもう真面目に聞く気も失せ、睡眠欲の解消に精をだそうとすると、
「夕方六時くらいだったかなー、私は仕事終えて帰宅途中だったんだけど」
「……ん?」
「いきなり男の人の声で『好きだー!』って聴こえてきたから、何事かと思って見に行ったら」
「……え?」
「佐々木君と渡辺さんが天下の往来で抱き合ってて――」
「ほわぁぁぁ!」
 佑助は奇声をあげた。この人、まさか見ていたのか?
「どうしたのかな佐々木君。今は先生が大事な話をなさっているのだから、静かにしていないとだめじゃないか」
 清原がぬけぬけと言い放つ。
「そうよ、大人しくしてなさい」
 平山が尻馬に乗ってそれに続く。
「もうその後はびっくりしちゃったわよ。佐々木君、渡辺さんをお姫様抱っこなんかするんだもの。ただちょっとフラフラしててカッコ悪かったから、先生つい言っちゃったのよね『頑張れ、男の子』って」
 あれは先生の声だったのか。佑助は軽いめまいを覚えた。一刻も早くここから逃げ出したかった。
「先生、気分が悪いので保険室行っていいですか」
「この話が終ってからにしてね。もしかしたらテストにでるかもよ」
「超やめてください」
 三十路を過ぎたばかりの独身女性の嫌がらせは、この後暫く続いた。

(了)


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