バッドブースターU〜姉とメイドと心の浮気〜-7
「藍……もう、いいよね」
「はい……ご主人様……」
こんな状態でも律儀にメイドを続ける藍に、佑助の欲望の炎は理性の糸を焼き切らんばかりに強くなっていた。
佑助は藍を四つん這いにさせる。黒のスカートをめくり上げると、むわっと甘い臭いが鼻を襲った。
濡れるのを見越していたため、藍はショーツをはいていない。直の素肌、直の秘部が佑助の前に晒された。
「あぅ……は、早く……」
「ん? ああ、ゴメン」
湧き水のように溢れ出る愛液をじっと眺めていた佑助は、藍の言葉で我にかえった。
膨張しきった一物を、後ろから一気に、藍の体内へと沈めていく。
――ずっ――
「ひゃ!」
粘膜と粘膜の擦れあう音と、藍の矯声が、六畳の部屋に響きわたる。
「んっ! はぁっ、はっ、ひゃ!」
佑助が藍の腰を両手で掴んでピストン運動を始めた。
「あっ、はぅっ……うぅん! い、いいぃぃぃ! すごっ……熱いのが、う、動いてるぅぅ!」
佑助が動きだした途端に、藍は既に喜悦の感情と快楽を顕わにしていた。後ろから獣のように突かれる快感が、身体の内部を躍動する。
藍は自分がメイドであったことも忘れ、情欲の波に流されるがまま、佑助の耳を聾さんほどに声をあげていた。
「んはぁ! ああんっ! あんっ、あんっ! はぅぅん! 凄く気持いいよぉ!」
佑助の動きもまた、すぐに激しいものへと移り変わってゆく。
「くっ、藍、締めすぎ……!」
あまりに強烈な膣圧にうめいたが、藍にそんな声を聞く余裕があるはずもない。
「ああ……! 私、くる! もうきちゃう!」
精神の尋常ならざる昂揚により、藍の意識の遥か彼方に向けた飛翔は、もうすぐそこまでせまっていた。
「ううっ、藍! 俺……もう出そうだ!」
苦しそうに佑助は言いながら、さらに動きを早める。
「いいよ……出して! 私の中に、精液いっぱい出してぇぇぇ!」
藍が叫ぶと同時に、男根から熱い液が白い奔流となり、藍の膣を埋めつくす。
「んうあっ、熱い! 熱い熱い熱い熱い熱いぃぃぃ!」 藍の頭は真っ白になり、猛烈なオルガスムスが身体を貫く。力がぬけた体を、やるせなさと幸福感がつつむ。
「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……はふ……」
甘い時間は終焉を迎えた。
(おかしいな…私の計算では、もう来ていてもおかしくないはずなんだけど)
藍は、佑助と仲良くシャワーと相成ったのち、普段着に着替えながら考え事をしていた。
現在メイド服は、洗濯機の中で回転させられている。
「どうしたの?」
佑助がのぞきこむような体勢で話しかけてきた。
さの近さにちょっとびっくりしつつ、
「何でもない」
適当に取り繕っておいた。
本来の藍の計算であるならば、平山から聞いたいた電話番号で呼び出しておいた綾子は、藍と佑助が交わっている時にくるはずだった。
思いっきり見せつけてやるつもりだった。
が、来ない。
――と思ったら、
階下で、引き戸の音がした。
(――来た!)
今からでも遅くはない。
藍は横目で佑助を見やる。幸い、漫画に集中しているようで、闖入者の存在には気付いていないようだ。
「……佑助君」
佑助が漫画から目を離し、藍の方へと向きなおろうとする。
「何……って! んんっ!?」
開きかけた口を、藍が同じもので塞いだ。
「ん……ちゅっ、はむ……くちゅ……」
藍の舌は侵入した佑助の口内を激しく犯す。二人分の唾液が、結合の象徴として、妖しい水の音色を奏でる。
程なくして、佑助もその気になったのか、藍を後ろ手に抱き締め、自分からも舌を動かし始める。
階段を上ってくる音が、徐々に大きくなって聴こえてくる。佑助はようやくそれに気づいたようで、藍を押し戻そうとする。
藍は、佑助からの無言の要請で、唇を離す。その唇が動き、今度は水音でなく、言葉を紡ぎだす。
「もう一回……しよ?」
――タイミングは、完璧だった。
その言葉は、近藤綾子が部屋の扉を開けたのとほぼ同時であった。
綾子は、石化したように動けなくなっていた。
そのうちに、わなわなとふるえだした。
綾子は、佑助に抱きついている藍を憎々しげに睨みつけ、次に、佑助を見て、
「――え?」
その目は、涙で潤んでいて……
綾子はおもむろにクルリと二人に背を向け、ものすごい勢いで走り去った。
「ね、姉さん!?」
佑助は思わず立ち上がり、追い掛けようとする。
「駄目!」
藍は無意識に叫んでいた。
口にすると、たったの二文字だった。
佑助は、ほんの四半秒に発せられたその言葉に、驚きと、呆れと、そして何より、強い憤りが沸き上がった。
弾かれたように振り返り、心の中に生まれた勢いと力のまま、藍を怒鳴りつけた。
「藍っ!」
「!?」
佑助の怒りが自分に向けられて、藍は身をすくませた。