エリザベス・悲劇の人形たちV-3
「コレカラモ、ズットズット、幸セ」
「こっちはアンタたちの為に相当な金を使っている事は、分かってる?」
「勿論」
「だったら何故、姉に感謝しないのかしら?
あのコたちなんか、自分たちが楽しく暮らせるのはアンタのお陰だと思ってる。どう思う?
アンタの考え聞かせてくれないかしら?」
エリザベス、何故か凛とした表情を見せた。
「人間ガ、私タチ人形二、尽クスノハ、当然」
「ハァ?」
顔をしかめるグロリアス。
今のセリフ、聞き捨てならない。
「ヨク、聞キナサイ。
私タチ人形ハ、1人デハ、生キテハユケナイ。 ダカラ人間ハ、私タチノ世話ヲ、キチント、ヤラナケレバ、ナラナイ。 コレハ、大切ナ義務」
「だったらどうして!
そんな贅沢三昧な生活をしなければならないのよ!? 少しは家庭の状況を考えた事あるの!?」
「…」
「よその人形たちは、それぞれの人間のライフスタイルに合わせた生活をしているのよ。
その家の主人に感謝をして、子供たちにはキチンとした教育を施している…」
バーン! バーン!
エリザベスはテーブルを叩いた。
え?
相手に言葉を遮られたグロリアス。
エリザベスは厳しい表情で言った。
「無礼者。私ヲ、誰ダト思ッテル? 私ハ、エリザベス」
「だ、だから何?」
「私ハ、モットモ気品溢レル高級人形。贅沢ナ生活ハ当タリ前ノ事。
子供タチ、可愛クテ優秀ナ女ノ子タチ。
私ト一緒二、楽シク暮ラス。素晴ラシイ事」
ジッとエリザベスを見つめるグロリアス。
思わず、ニヤリ。
「フン! エリザベス、とうとう本性を見せたわネェ!」
何を思ったのか、エリザベスは立ち上がった。
「私ハモウ、寝ル」
「話しはまだ、終わってないのよ!」
「オ前ト、話ス事ハナイ。コレカラモ、私タチヲ、大切二、シナサイ」
その時、エリザベスの懐からキディがひょこっと顔を出した。
「ミャーミャー」
眠たそうな顔をしている。
エリザベスママはキディを抱き上げ、優しい表情で頬ずりした。