reality ability‐第11話‐終わりなき絶望、始まりなき希望‥‥‐-5
「それで何かしたつもりか!?」
近付いた黒神は言った。‥‥次の瞬間が皇希以外を驚かせた。邪神が復活したように出現したのである。
「コロシてやるよ!‥この戦リョク差でどうするんだ!?カッテミロよ!?」
佐神が荒れ狂った口調と余裕な表情で言った。‥‥この戦力差でなら余裕になるのも頷ける。
5人の表情には余裕どころか勝てる気すらなくなった。構えにそれは証明されていた。ただ、皇希には変化がなかった。
‥‥邪神の正体は神の怨みや憎しみ、そして、闇といった要素が含まれている。ここにはそれらが充分にある。倒してもキリがないのは必然である。
正に“絶望”の一言だ。‥‥皇希とて無傷ではない雰囲気が醸し出されていた。
‐あれから一時間後‐
戦況は明らかに不利であった。だが、皇希と織音は無傷だった。対する4人は瀕死状態だった。それも立っているのが精一杯の状態。
織音の無傷には理由がある。それは愛の型である守想の鎧が敵の攻撃を防いでいたからだ。だが、息切れにはなっていた。
皇希の方は異様だった。まるで未来が知っているように敵の攻撃を先読みし反撃して倒していた。呼吸も表情にも変化がなかった。
この戦況ですら余裕に思えた。いつものように‥‥‥。しかし、違った。皇希は無言で倒れたのだ。織音はその光景を信じられなかった。
「フッ!やっと倒れやがった!」
黒神は歓喜する。つられるように佐神も歓喜するように表情が変わる。
「‥‥‥」
倒れた皇希は無言だった。目は開いていたのだが、その表情は焦りもなくいつも通りの表情だった。何故、倒れたのか?
そんな皇希を無視したように敵の攻撃は皇希にはいかなかった。必要じゃなくなったという事だろう。
その後の戦況は一方的だった。傷付いている4人に敵の攻撃は緩む事はなかった。皇希が何もしない分、増えた。
だが、織音には変化がなかった。ほぼ無敵と思える鎧が織音を守っているから。織音は皇希を何度も見ていた。
それは違和感を感じている為、この戦況は可笑しいと思っていたのだ。‥‥織音ならこう思う筈だ。‘余裕で勝てる’と。
だから、現在─イマ─は可笑しいと。それには証拠がないが確証があったから。皇希のあの“力”が原因だと織音は思っていた。
しかし、調べたいがそれどころではなかった。邪神が邪魔をするのだ。‥消えては復活する。寧ろ、増えているような気がする。
‥‥‥当たり前だ。この状況でも邪神の存在の素である要素が増えていくのだから。それも無限に‥‥。