reality ability‐第11話‐終わりなき絶望、始まりなき希望‥‥‐-3
「‥その全世界ランクの同率1位は解る?因みに、3人よ。それと貴方は21位以下だから圏外ね。」
女性は冷静だった。
「‥‥知らん。‥‥それがどうした?」
統神 皇希はまた素っ気なく答えた。質問の意味が解らなかった。
「1人を除いて彼と彼女なら10%の確率で勝てるわ。‥‥彼なら85%の確率で勝てるわ。‥‥貴方じゃあ1%未満。」
女性はそう言った。つまりは統神 皇希では勝ち目はないという事だろう。だが、
「‥別に勝つために挑んだじゃない。足止めだ。ここに滞在すれば運命は変わるだろう?」
そう、彼の目的はあくまで足止めだ。勝てる負けるの問題ではなかった。しかし、女性は少し笑う。
「ふふふ。でもね、実力がなければ足止め出来ないのよ?‥‥‥後で彼女にも会わないと。」
女性は天命城の上を見上げた。そこにはキラリと光ったものがあった。統神 晴那が望遠鏡で見ていたのだろう。
「ちっ。バレたら仕方ねぇ。いくぜ!」
どうやら晴那を使って広める予定だったらしい。しかし、女性は鋭い読みで先読みした。それに対しての動きをした。
「あ〜あ。この姿気に入っていたのに。」
統神 皇希は女性に急接近した。剣は女性に狙い定まっていた。ゆったりと動いているが、常人が見ればとてつもない速さだ。
だが、女性は剣で斬られる事はなかった。2本の指で統神 皇希の剣を掴んでいる。それもギリギリで当たる前で。
統神 皇希の腕は力が増すように筋肉が膨れる。しかし、それ以上は動こうとしない剣。そして、剣は折れた。
「なっ‥‥!!」
統神 皇希は驚く。折れる事はないと思っていたのだから。
「あらら。‥折れたわね?まぁ、イメージマテリアライズは精神力の剣(つるぎ)。それが折れるという事は精神的に貴方は負けるって意味よ?」
女性は冷静に物事を解決したふうに言った。それが彼を精神的に更に追い詰めた。動揺が彼の表情にはっきりと出た。
「‥イメージマテリアライズは‥‥‥こういうことよ?」
女性は統神 皇希の剣と無神 絢音の鎧みたいなものを同時に出した。凄まじい精神力の持ち主だった。
「くっ‥!」
統神 皇希は折れた剣で構えた。
「‥‥‥ちょっと寝てなさい。」
女性はイメージマテリアライズを‥‥消した。それと同時に統神 皇希は血を吐きながら倒れた。
「‥‥やれやれ、面倒ね。私も“彼”と同じように生きたいわ。‥‥さてと、後は‥‥」
女性は歩き出す。数分後、統神 晴那が倒れていたのを発見された。