「血染めの雪」-4
「うぁっ、あっ」
責め立てられて、舞の目から涙が溢れる。
「お、おもちゃ…だけ」
途切れ途切れに舞は答える。
「玩具?」
九木の形のいい眉が僅かに上がる。
「そう言えば、こないだも玩具を突っ込まれていましたっけ?確か、これだったかと…」
九木は懐から以前奪ったピンクの玩具を取り出す。
「そうですね。今日の式の間は、舞さんが晴れ着を汚したりしないように、コレで栓でもしておきましょうか?」
ニコリとも笑わない、冷たい目が舞を射すくめる。
「怯えてますね。私が怖いのですか?それとも…」
九木の蜜に濡れた手が、舞の顎を持ち上げる。
「それとも、快楽に淫らに溺れる自分が怖い?ほら、見てください。貴女の女穴は、こんなにもヒクヒク蠢いて、埋め込まれるのを待っていますよ」
ゆっくりと穴のふちをなぞられ、舞はプルプルと震えた。
「はぁっ、あぁっ」
より一層の期待を求めて、舞の声が切なく上がる。
しかし、そんな舞の期待を裏切るかのように、九木の手は周囲を撫で回しただけで離れ、今度は乳房を揉みしだいていく。
しかし、痛いほど熟れて尖った先端には触れず、やわやわと舞の肉の柔らかさを楽しむのみである。
「ほら、淋しいなら言えばいいんですよ。直ぐに、その切なさを埋めて差し上げますから」
そう言った九木の姿は実に妖艶で、舞は自分の心音がハッキリと耳に届いたような気がした。
「淋しいのでしょう?ほら、ココが私を求めてわなないていますよ」
舞を抱え込むように抱きかかえて、九木の手は舞の秘裂をゆっくりとなぞる。
もう一方の手では、刺激を求めていきり立っていた舞の胸の突起をギュッと掴み上げた。
「はぁぅっ!」
舞が待ち望んだ刺激が、今、目の前にある。
とろけた目で宙を見ながら、舞は口を開いたのだった。
「九木さんっ…お願い、です。淋しくて泣いてる舞の穴を、九木さんでっ…埋めて…ください」
泣きながら舞は懇願した。
おそらく舞は、橘を筆頭に何人もの客にこのような科白を言わされてきたに違いない。
どこまでも、妖艶に男を求め、その魔性で男を引きつけて離さない。
その程度の魅力ならば九木も持っていた。舞とは違い、異性だけではなく同性にも求められるような魔性を秘め、かつての彼は君臨していたのである。
しかし、舞にあって彼にないもの。
それは、“清純さ”であった。
何度、客に抱かれても、淫らに男を求めても、次に見る舞は、まるでけがれなど知らないかのような無垢さを浮かべていた。