想いのいきつく果て〜Final〜-3
「…切らんといて!」
「え?」
「あたしのこと…覚えとる?……しのの…彼女やけど…」
ドクンと鼓動がはねる。
番号はおそらく以前しのの携帯にかけた時に知ったに違いない。しかし、何の為に私にかけてきたのか皆目検討がつかなかった。
「あんな……ちょっと知らせたいことあったんや」
思わず受話器をもつ手に力が入る。
「…あたし…お腹に赤ちゃんおるんよ。もちろんしのの子やで」
鈍器で頭を殴られたような衝撃が走る。
この人何言ってるの…
それでも『24』の言葉は止まらない。赤裸々にしのとの事を語っていった。
勇気を振り絞り、震えが止まらない声で相手に問い掛けた。
「……しの…くんは……そのこと……」
やっとのことで声を絞りだした。
「……知らんよ…別れ切り出されたし……でもあんたがしのと幸せになるのは絶対許せない!……」
嗚咽が漏れそうになるのをぐっと堪える。呼吸が苦しくなる…体の震えが止まらない……
「最後にあんたにだけは知っといて欲しかったんよ……じゃ………」
「…ちょ…ちょっと待って!!切らないで!」
「………何?」
「…あ…あの………産むんですか?…赤ちゃん…」
「!?…そ、そんなん、あんたに言う必要ないやろ!あたしからしのを奪ったあんたなんかに!一生許さへんから!」
「…あ……」
「じゃ……」
「ま…待って!」
気持ちを落ち着けようと静かに息を吐き出した。
「……私がえらそうなこと言える立場じゃないけど……赤ちゃん……産んで下さい。しのくんとは……別れますから…」
考えるより先に口が勝手に動いていた。
言葉とは裏腹にポツリポツリと涙の滴が床に零れ落ちていく。
「…あんた何言うて……おかしいんちゃう…」
一方的に電話は切られた。