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SFな彼女
【SF 官能小説】

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SFな彼女 -Sweet Face編--12

「だって『さようならを言うのは〜』なんて書いてあったら、誰だって別れだって思うだろ? すぐ目に着いたのがそっちのメモだったし……」
「まあまあ、マサキさまの早とちりだったということでぇ」
のんびりした口調で宥められ、俺は再び脱力する。
しかし、何となく心が軽くなったような気がした。
ユズリハがここを去ることで心の奥でほっとしている自分がいて――そんな自分に罪悪感を抱く自分がいて。
だからユズリハが留まるということでそんな俺の罪悪感も――
(………)

いやいやいや! ほっとしてる場合じゃねーだろ!
事態はむしろ悪化してるんじゃねーか!
俺はきっと榊を見やった。びくりと榊が身体を引き、困惑したように言う。
「ど、どうしたのよ」
これからどうすんだ。
榊とそーいう関係になってしまった以上、ユズリハを家に置いてもいいのか!?
「マサキさま♪」
頭を抱える俺に、ユズリハが声をかけた。
「?」
「ユズリハのことなら、大丈夫ですよぉ」
そう言って、ユズリハは榊に抱きついて言った。
「ユズリハ、カエデさまのおうちに泊めてもらおうかなーって考えてるんです♪」
「「ええ!?」」
俺と榊が素っ頓狂な声を上げる横で、ユズリハはにっこりと笑う。
そして艶めかしく舌舐めずりをしながら榊の頬を撫でた。
「カエデさま。ユズリハ"生やす"こともできますから、ちゃんと"挿れて"あげますねぇ」
「はや……いれて……?」
「だ、ダメダメ! ダメだ!」
俺は慌ててふたりの中に割って入った。
「大丈夫ですよぉ。カエデさま、ユズリハの正体知っているのでしょう?」
「そういう問題じゃねーの! つーかユズリハ、心ん中読んだろ!?」
俺が言うと、ユズリハはちろりと舌を出す。
困ったように俺とユズリハを交互に見やっていた榊は、不意にくすくすと笑い出した。
その笑い声が徐々に大きくなっていき、俺は訝しげに榊を見やる。
「……榊?」
榊は缶に口をつけてから言った。
「不思議ね。梅本と宇宙人……のユズリハと、こんなふうに笑っているなんて」

そりゃ、な。
俺だって思わなかった。
でも、これは夢じゃないし妄想でもない。

「きゃッ!?」
俺が立ち上がり、榊の傍らに腰を下ろそうとしたその時だ。
ユズリハが榊の後ろに回り、後ろから胸に手を回したのだった。
「カエデさま、マサキさまぁ。ユズリハ、したくなってきちゃいました」
熱く吐息を吐きながら、榊の耳元で言う。
「もう何日間もしてないんですもん。ね、いいでしょう?」
その艶めかしい表情には、こっちまでおかしな気分になってきそうだ。
実際榊は顔を赤くして俯き、ユズリハの吐息に反応している。
「さか……」
「マサキさまズルいです!」
俺は榊の傍らに座り、その頬に触れようとする。しかし榊に触れる前に、ユズリハがものすごい勢いで俺を睨んできた。
彼女は俺を睨めつけたままで言う。
「ユズリハには分かってますよぉ。昼間、カエデさまとしてきたんでしょう!」
「う゛!」「!」
言われて、俺と榊は思わず言葉を詰まらせた。
「そ、それは……その」
しどろもどろになる俺に、ユズリハはつんとそっぽを向く。


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