憂と聖と過去と未来3-6
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バレンタイン当日。
結局、テーブルの上には綺麗にラッピングしたチョコと、小さな箱に入れたチョコが数個。
当然、大きな包みは聖へのチョコだ。
「聖にいつ渡せばいいんだろう」
あたしはそう呟きながら時間を確認すると、時間がぎりぎりなことに気付いてそれらを通学鞄に入れて、ばたばたと登校した。
教室に入ると、やはり何だかみな落ち着かない感じでいる。
あたし以外は専門学校志望なのでほぼ全員進路は決まっているし、男女共、今日は楽しみな一日なのだろう。
佐山さんは鞄を置いたままどこかに行っているようだ。
まあどこだかわかるんだけど。
あたしはそんな佐山さんの席を横目で見ながらグループの女子の元へ向かい、早速チョコを交換した。
「憂、こんなにたくさん入ってるけど大丈夫?」
グループの子は二人とも彼氏がいるからあたしがもらう量は本当に些細なものだった。
一方であたしは、聖に渡そうか渡すまいか悩んだうえで作ったから、つい聖の分が中途半端になってしまった。
だから二人への分も結構多かったりする。
「あはは、今年は渡す相手がいないから余っちゃって」
「そっかー…あ、憂に男、紹介しようか?」
「んーん、大丈夫。ありがとう」
心配してくれるのは本当にうれしいけど、正直そういうのは考えられなかった。