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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来3-7

席に戻って教科書の準備をしていると、隣の席の男子から話しかけられた。
「なぁ、柊」
たしか前にもこんなタイミングで話しかけられたっけ。
そうそう、遅刻したときだ。
「なに?」
「俺さ、柊のこと、ずっと見てたんだ」
「へ?」
「これ、もらってくれよ」
そういって男子は綺麗に包まれた箱をあたしに突き出した。
「……逆チョコ?」
本当にあるんだ、こういうの。
すると周りのクラスメイトが一斉に騒ぎ出す。
「ああ、そんで俺と付き合ってくれよ」
その言葉の直後、一気に歓声があがる。
「……え」
やっぱり照れてしまい、顔がみるみる熱くなる。
「俺が篠塚のこと、忘れさせてやるよ」
「っ!?」

彼は何を言ったのだろう…

そう、たしか…聖を忘れさせてやるって…

一気に顔の熱が冷めた。

ばかばかしい。

聖を忘れる?

「ごめん。あたし、聖を忘れることなんてできないから」
「…」
またも周囲がざわめく。
「たとえ君と付き合っても、きっとあたしは聖が一番だと思うから。ごめんね」

あたしは何を言ってるのだろう。

きっとひどい言葉だ。

周囲のざわつきが収まらないなか、男子は口を開いた。
「…そっか。かっけえよ、柊は」
「…え?」
「そんなに一途に想い続けられるからな。ごめんな、いきなり変なこと言って」
「……えっと」
きっと彼に罵倒されると思っていた。
周りには冷ややかな目で見られると思っていた。
でも、彼はなぜそんな言葉をかけてくれるのだろうか。
なぜ周りは悪口を言わずに笑顔なのだろうか。
「俺たち、ずっと前から知ってたんだぜ、柊が大学を受けるって」
「…え?」
もちろん、皆が専門学校を受験する頃には自然にばれたけど…
もっと前から…?
「きっと、篠塚を追いかけるつもりなんだって納得した。柊も俺らに悪いと思って言わなかったんだろ?」
「……う、うん」
「だから柊はかっけえ。大学、受かってるといいな」
周囲のクラスメイトも、受験お疲れ様、だとか、受かってるよ、なんて声をかけてくれた。


そうだ…障害物競争のときもそうだった。

いつも一人で戦っているつもりだった。

みんな、すごくいい人たちなんだ。

「……みんな、ありがとうっ!」
涙が溢れて止まらなかった。

「でも、告白はマジだったんだからなー。本当にだめだったら俺んとこにこいよ、なんつって。あとこれ、柊のために買ったんだから食えよな」
男子は笑ってチョコを手渡してくれた。
「ありがとう…ちょっと涙が止まらないから…お手洗いに行ってきますっ…」
周りから笑われながら、あたしはチョコを机に置いて教室を出た。


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