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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来3-5

おばさんと二人で話しながらマンションまで帰ることになった。

「チョコの材料?」
「うん」
おばさんに話しかけられたとき、バッグに紙パックの生クリームを入れているときだったので、気付いたらしい。

聖のお母さんは綺麗で、聖の顔はお母さん譲りだと思う。
おじさんも渋くてかっこいいけど。
小さい頃からの付き合いだから、なんだか第二の両親って感じであたしも二人が大好きだ。

「今年も作るのね。毎年頑張るわねぇ」
「えへへ、いちおう、女の子だし」
聖に会わなくなったから、当然のようにおばさんと会うのも久しぶりだ。
「あたしも憂ちゃんみたいな娘がいたら、一緒にパパのために作るんだけどね」
「あはは」
小さい頃は、よくおばさんとクッキーを焼いたり、チョコを作ったりしていたものだ。
「そういえば、お母さんに訊いたわよ。大学志望に変えたんだってね」
「あ…うん」
「小さい頃から看護婦さんになるんだって言ってたのに、なにかあったの?」
「えっと…なんとなく、かな」
「そう…そういえば聖ったら、毎日彼女のところに入り浸って夜中にしか帰ってこないのよ」
「…え?」
意外だった。
前に電話をくれたのも夜中だったけど…
そうなん…だ。
「もうすっかり寂しくなっちゃったわ…早く子離れしないといけないんだけどね」
「…あはは」
「てっきり、聖は憂ちゃんと付き合うっておばさんは思ってたのよ」
「…」
「聖も小さい頃から憂ちゃんは僕のお嫁さんだって言ってたのに…わからないものねぇ」
「…」
あたしも…小さい頃は聖くんのお嫁さんになるって言ってたっけ。
「彼女の顔もまだ見たことがないし、不安でしょうがないわ。憂ちゃん、どんな子か知ってる?」
佐山さんの顔を思い浮かべると、あの冷たい顔しか浮かんでこなかった。
「…ごめん、知らない」
「そう…あ、じゃあ憂ちゃんまたね」
「…うん!」
エレベーターが止まり、おばさんは降りてあたしに手を振った。
あたしが振ろうとするとパタンと扉は閉まり、音を立てて上昇を始めた。

「……聖」


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