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密心
【ファンタジー 官能小説】

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密心〜あいまみえ〜-3

「みそか……久しいな。……してこれはなんだ」

「しゅ、…趣向変えにございんす。たまには夜闇での会瀬も粋でしょうと思いんして」

まだひりひりと痛む体に叱咤して準備をした

部屋の端々、片隅に置いた燭台の仄かな灯りだけではお互いの顔もよく見えない

これなら痣がばれることもそうすぐではあるまい

それまでに――言い訳を考えねば

「蔵ノ介さまは、随分久しゅうございんすね。わちきの顔も忘れてしまわれたんじゃないかと思うほどでありんした。まこと…わちきはさびしゅうございんした」

「それはすまなかった」

「嫌です。許しんせん」

内心はらはらとしながら気丈に声をツンと張る

「今夜はわちきには触れさせらせんぇ」

「酷なことを言うな。みそかよ」

「嫌なら花代返しますからお帰りなさいまし」

必死に牡丹姐さんを思い出しながら、まるで自分の口じゃないように言葉がつらつらと流れ出す

た、確かあしらいはこうなされていたはず

言い訳はどうしようか…

「……みそか、ならば手をだしてくれ」

………手なんて出せまい

出せばわかってしまう

気づかれてしまう

「今日のみそかはつれぬな……まるで牡丹花魁のようだ」


胸がひきつったように響いた
緊張と焦りで胸が焼けそうだ


「みそか…?……聞いてるか?」
「………はい」

絞り出した返事は折れそうなほど弱々しかった


くじけてしまいそう

今すぐ泣き叫んですがってしまいたい
怖い怖いとすがりたい

愛してください
みそかだけ、みそかだけを愛してください



そうすがりたい

すがれればいいのに


燭台の空気が揺れる気配がした

「……耳に名を吹き込みたい。華奢な腕を組み敷き……蕾のような唇を吸い、その花開かせたい」

……何を…、…申され…

「みそかは意地を悪くすれば泣きそうにきらきらと潤む目で俺を見上げるのが心地いい。……自分でもここまで意地が悪くなれるものかと驚く」

……じわ、と下肢が染みてゆくのがわかって、…いたたまれない

耳から声に犯されてゆく

耳を塞ぎ顔をいやいやと振っても蔵ノ介さまは止めようとなさらない


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