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SFな彼女
【SF 官能小説】

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SFな彼女 -Sullen Face編--8

「う、ううう梅本!?」
顔を真っ赤に赤らめ、後退る榊。
俺と自分の身体が裸なのに気付くと、奴は悲鳴を上げた。
「わ、わわわ私……!」
当惑するのももっともなのかもしれない。
ただ、どうやってこの場を説明すればいいか、俺には分からなかった。
顔を反らす榊の首筋に浮かぶキスマークがやけに生々しくて、俺はごくりと息をのむ。
「あのさ、榊」
ばつが悪そうに俺が声をかけると、シーツを手繰り寄せていた榊はびくんと身体を強張らせた。
多分、こいつの様子から察するに、何が起きたかは分かっているんだろう。
だから俺は努めて爽やかに言ってやった。
「その……何だ」
にっこりと、これ以上ないってくらいの笑顔で親指を立てて。
「よかったぜ!」


――何でこうなるんだろう。
確かに、今冷静になって考えてみればアホなことを言ったと思う。
あの後で食らった平手打ちは、俺の頬に赤い手跡を残した。
今の今までどこにいたのだろう、ユズリハがくすくすと笑いながら俺に救急箱を手渡す。
「くそッ、榊の奴」
救急箱の中の湿布を探しながら、俺は軽く毒づいた。
言葉ではそう言っても、榊に対してちっとも負の感情を抱かないのは、やはりあの表情が頭に残っているからだ。
上気した顔、濡れた唇から零れる俺の名前。
快楽に苛まれる、困ったような顔。
『あぁ……梅本……ッ』
俺に抱かれている榊の姿が、今でも鮮明に脳裏に浮かぶ。
この時俺は気付いてしまったんだ。
俺はあいつに――。


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